CBS MarketWatchによると、米マイクロソフトは5日、米長距離通信最大手AT&Tと共同で、インターネット電話関連ソフトのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)事業を開始することを明らかにした。

  同社では、インターネット電話を利用したビジネス需要が今後、数年以内に飛躍的に伸びると見ており、3人が同時に音声通話やデータ・映像の交換が可能なサービスを提供する企業が今後、増加していくものと見ている。今回のAT&Tとのパートナーシップはこうした戦略を実現するための布石となる。

  マイクロソフトは、すでに、インスタント・メッセージ用ソフト「マイクロソフト・メッセンジャー」やオンラインで業務や文書の共同管理を可能にするサービスも提供しているが、それに加えて、AT&Tなどの通信業者がマイクロソフトのソフトウエア技術を使って、さまざまなインターネット電話サービスを提供していくことを期待している。

  また、インターネット電話サービスには、同社製事務ソフト「マイクロソフト・オフィス」が組み込こまれ、企業に提供されるほか、同社製のインターネットTV用ソフトは、一般消費者と接続することが可能になる。実際、AT&Tの買収が決まっているSBCコミュニケーションズでは、2006年までにマイクロソフトのソフトを使って、有料テレビ放送を開始する計画で、SBCのテレビ視聴者は、番組を見ながら、電子メールのチェックやインスタント・メッセージを使ったメール送信が可能になるとしている。

  マイクロソフトの新事業は、企業が巨額な初期投資や設備のメンテナンス費用を負担するのではなく、同社のソフトウエア技術の利用料を定期的に支払う方式を前提としている。このやり方は1990年代後半に流行した、応用ソフトを使用するたびに有料で提供するASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)方式で、同社の技術は、電話会社が、3人が同時に通話できるサービスを可能にするだけではなく、企業は自前の技術開発で他社と競争する必要がなくなるメリットがある。マイクロソフトのサービス・プロバイダー事業部のマイケル・オハラ部長は、「企業は設備を購入したり、補修する必要がない」という。

  また、AT&Tのデイブ・ドーマンCEO(最高経営責任者)は、「企業は、将来の保証がないような問題の解決に時間を取られることなく、また、設備投資を行わないで、メッセージや音声、電話会議などのサービスを提供することが可能になる」と話す。

  今回、マイクロソフトは、米インターネット電話ソフト開発のシラントロ・システムズと米顧客管理・課金システム開発のアムドックスとも連携することで合意しており、顧客への請求書作成など重要な事務作業の機能強化が図れるとしている。マイクロソフトは6日からシカゴで始まる「スーパーコム」見本市で、新事業の詳細について発表する予定だ。【了】