ドイツ屈指の観光地として名を馳せるロマンティック街道。中世の面影を残す街が連なるこの街道沿いに、漫画「進撃の巨人」の舞台として注目されている街があります。

それが「中世の真珠」ともたたえられる城壁に囲まれた小さな街・ネルトリンゲン。「進撃の巨人」ファンはもちろんのこと、ファンならずとも魅了される可愛らしさいっぱいの街です。

ネルトリンゲンは1215年に帝国自由都市となり、最初の城壁が築かれました。その後火災で焼失し、現在残っている城壁は1327年に建設されたものです。

実はこの街、およそ1500万年前に隕石が落下してできたリース盆地にあり、見事なまでの円形をしています。隕石によってできた跡がこれほどはっきりと残っているのは世界的にも珍しいのだとか。

街の成り立ちからして、嘘のような本当の話。物語の舞台にぴったりのストーリーがありますね。


全部で5つある中世の城壁の門が街の入り口。この先にどんな光景が待っているのか、胸が高鳴ります。

城壁の内側に入ったら、まずは街の中心、マルクト広場を目指しましょう。

ネルトリンゲン観光で絶対に外せないのが、1427年から1505年にかけて建設された聖ゲオルグ教会。カラフルな建物が並ぶネルトリンゲンの街にあって、重厚な存在感を放つ後期ゴシック様式の教会です。

内部でとりわけ印象的なのが、独特の装飾が施された重厚感あふれるパイプオルガンです。

しかし、必見なのはむしろ教会の塔からの眺め。この教会には「ダニエル」の愛称をもつ高さ89.9メートルの塔があり、ここからネルトリンゲンの街を見渡すことができます。

塔の頂上まで登るのはかなり体力を要しますが、オレンジ屋根のカラフルな建物と、周囲の緑が織りなす風景は感動的。塔の頂上でぐるりと一周すると、ネルトリンゲンの街が丸いことが実感できます。

聖ゲオルグ教会の目の前にあるマルクト広場はいつも観光客や地元の人々でにぎわっています。中世の街とはいえ、意外にも人々の日常がすぐ近くにあるのがネルトリンゲンの面白いところ。

中心部を散策したら、ネルトリンゲンの真の魅力が感じられる場所といっても過言ではない城壁周辺に行ってみましょう。

ネルトリンゲンの街をぐるりと囲む城壁は、14世紀の建設当時の姿をほぼ完全に残しており、中世の城壁がここまで完全な形で残っているのは珍しいことです。

この城壁にはのぼって歩くこともでき、城壁の上から眺めるとまた違った視点からネルトリンゲンの魅力が発見できますよ。

城壁の周辺には美しく手入れされた古い民家が並んでいます。こんな物語の世界のような場所で日常生活を送っている人々がいるなんて、にわかには信じがたい気もしますが、観光と日常が共存するほっとするような温かさがこの街の魅力なのです。

中心部とは違ってひっそりとした城壁の中心には、中世の頃とほとんど変わらないであろう、ゆったりとした時間が流れる一角があります。とりわけ小川が流れる場所は絵本の世界に迷いこんだかのよう。

隕石がつくった街であり、「進撃の巨人」の舞台となった中世の街でもあり、人々の生活の場でもあるネルトリンゲン。この街が見せてくれる重層的な魅力が、今日も人々を惹きつけてやまないのです。

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