ポーランド・クラクフの最旬スポット、ユダヤ人街「カジミエシュ地区」に行ってみよう
ポーランドにある世界遺産の古都クラクフ。クラクフを訪れるなら、ヴァヴェル城などの大人気スポットだけでなく、クラクフの違った一面が見えてくるユダヤ人地区にも足を運んでみませんか。
ヴァヴェル城の南東に、映画「シンドラーのリスト」のロケ地としても知られるユダヤ人街、「カジミエシュ地区」があります。もともとは、1335年にカジミエシュ大王によってクラクフとは別の街としてつくられたエリアです。
カジミエシュ大王は当時迫害されていたユダヤ人の保護に熱心に取り組んだため、多くのユダヤ人がクラクフに移り住むようになり、15世紀以降、第二次世界大戦まではユダヤ人が多数を占める地区として発展しました。
第二次世界大戦により多くのユダヤ人が姿を消し、荒廃してしまったカジミエシュ地区でしたが、最近では再開発が進んだことでおしゃれなカフェやショップ、プチホテルなどが増え、クラクフのトレンド発信地として再び注目を集めています。
かつては食料品店や仕立て屋といったユダヤ系の商店を再現したカフェやショップ。レトロモダンな雰囲気で、日本人にとってはどことなく昭和を思い出すような懐かしさがあります。
カジミエシュ地区の中心部にある広場には、ユダヤ系のカフェやレストラン、シナゴークなどが立ち並びクラクフの旧市街とは別世界の雰囲気。
ヘブライ文字やユダヤのシンボルである燭台をあしらった外観のレストラン、アリエル。伝統的なユダヤ料理を提供していて、「シンドラーのリスト」を撮影したスティーブン・スピルバーグ監督も訪れたのだとか。
広場に面して小さなシナゴーク、ポッパー・シナゴークがあります。
日本人にはあまり馴染みのないシナゴークとは、ギリシア語で「集会」を意味する言葉に由来し、ユダヤ教の会堂を指します。このほかにもカジミエシュ地区には大小のシナゴークが点在しています。
広場の中心にある緑地のそばには、ホロコーストにより命を落としたユダヤ系ポーランド人のための記念碑が置かれています。
過去の悲劇を心に留めつつ、未来に向けてユダヤ文化や新たなトレンドを発信する…カジミエシュ地区は、ユダヤ人、そしてクラクフの過去と現在が交錯する場所なのです。
ユダヤ人やユダヤ文化についてもっと知りたいなら、ガリシア・ユダヤ博物館にも足を運んでみましょう。
この博物館ではユダヤの文化や、ホロコーストを中心とするユダヤ人が過去に受けてきた迫害、そして現在に至るまでを時系列で学ぶことができます。
クラクフとあわせて近郊のアウシュビッツ博物館を訪れる人も多いと思いますが、このガリシア・ユダヤ博物館では、アウシュビッツだけでなくポーランド各地で行われたホロコーストの実態を知ることができます。
ユダヤ人殺害に加担した非ユダヤ系ポーランド人がいた事実、またユダヤ人を守るために自らの命を危険にさらしたポーランド人がいたことも紹介されています。
ここを訪れれば、ユダヤ人の歴史はユダヤ人たちだけの問題ではなく、異なる民族や宗教、文化的背景をもつ人々といかに共存していくかという人類共通の課題であることがわかるでしょう。
またそれは、過ぎ去った過去の話ではなく、現在進行形で私たちに突きつけられている問題なのだということが感じられるはずです。
決して忘れることのない悲劇の歴史を抱えながらも、過去を乗り越え新たな文化を築きつつあるカジミエシュ地区。
過去と未来が交錯するこの場所を訪れたとき、いったいあなたは何を思うでしょうか。
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