ポーランド南西部に位置するシロンスク地方の中心都市、ヴロツワフを知っていますか。

日本ではほとんど知られていないヴロツワフを知っているという方はなかなかのポーランド通のはず。

6世紀にはすでにスラブ人の集落ができていたという千年以上の歴史をもつこの街は、モンゴル人の襲来やボヘミア王国による支配、さらには神聖ローマ帝国に組み込まれ1945年まではドイツの一部だったという、さまざまな文化の影響を受けてきた複雑な歴史を持ちます。

それゆえに歴史文化遺産も多く、今となってはポーランドの魅力がぎゅっと詰まった街なのです。そんな知られざるヴロツワフの魅力を発見しに出かけてみましょう。


ヴロツワフで絶対に見逃せないのが旧市街広場。13世紀半ばごろにつくられたというこの広場はポーランドを代表する中世市場のひとつで、古くから街の中心としてにぎわってきました。

この旧市街広場の魅力は広場を囲むカラフルで個性豊かな建造物の数々。色とりどりの可愛らしい建物に囲まれるとおとぎの世界に迷い込んだような気分になります。

広場の中心にあるのがゴシック様式とルネサンス様式が融合した存在感抜群の市庁舎。見る角度によって全く違う表情を見せるその複雑なシルエット、外壁を彩る精緻な装飾の数々はずっと見ていてもまったく飽きることがないほどに魅惑的です。

ヴロツワフはポーランド人にも外国人にも人気の観光地ですが、この広場でくつろぐ人々の多くはヴロツワフ市民。観光地化されすぎていない、地元の人々の日常がすぐそこにある素朴さとあたたかさもまたこの街の魅力のひとつです。

旧市街広場の北、オドラ川の対岸にあるのがヴロツワフで最も古いといわれるオストルフ・トゥムスキ地区です。

レンガ造りの重厚な建物が立ち並ぶこの地区は昔から聖職者や権力者が多く住んでいました。現在でも修道士や修道女の姿をたびたび目にする落ち着いた風情漂うエリアです。

この地区を代表するランドマークが洗礼者聖ヨハネ大聖堂。13世紀に建設が始まり1590年に完成した、天に向かって端正にそびえる2本の尖塔が印象的な教会です。

レンガ造りの質実剛健な内壁と、ステンドグラスの色彩のコントラストが厳かな雰囲気をつくり上げています。この教会に来たならぜひ塔にのぼってヴロツワフ市街のパノラマを楽しみましょう。

オドラ川と歴史的建造物が織りなすヴロツワフの街並みはどこか懐かしく、心落ち着く趣が感じられます。

旧市街広場とオストルフ・トゥムスキ地区のあいだに位置するのが、100年近くを経た堂々たるたたずまいの市場会館。

野菜や果物といった生鮮食品やドライフルーツやお茶などの乾物、献花用の花などさまざまな品物が並びます。ヴロツワフ市民の生活が垣間見える、見て歩くだけでも楽しいスポットです。

そしてヴロツワフを語る際に忘れてはならないのが小人の存在。ブロツワフの街には250体以上の小人像が点在していて、一人ひとりがそれぞれ違ったユニークな姿をしています。小人たちを探しながら歩けばただでさえ可愛らしいブロツワフの街歩きが一層楽しくなりますよ。

小人を探しつつ、街のあちこちに残る歴史ある教会や趣ある路地を好奇心のままに探検してみましょう。

日本では名が知られていなくとも、実際にヴロツワフを訪れればその街並みの美しさと連綿と流れる歴史に魅了されることでしょう。行けばきっと魔法にかかったようにこの街が好きになってしまうはずです。

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