ゲームのやり過ぎは手首を痛める(写真はイメージ、本文とは関係ありません)

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「ゲーマー親指」という言葉をご存じだろうか。ゲーム機器で激しく親指を使う子どもに増えている病気だ。手首が腱鞘炎(けんしょうえん)を起こし、激しく痛んだり、麻痺したりする。ひどい場合は手術が必要になる。

米国整形外科学会が2016年7月11日、ゲーマー親指の発症を予防するための推奨事項を発表した。お子さんのためにぜひ参考にしてほしい。

手首の腱鞘炎で激痛と麻痺が起こる

ゲーマー親指は、正式には「ドケルバン病」(狭窄性腱鞘炎=きょうさくせいけんしょうえん)と呼ばれる。日本整形外科学会のウェブサイトによると、手首には親指を動かす際に働く2本の腱が通っており、この2本を包んでいる鞘(さや)が炎症を起こす病気だ。親指を広げると、手首の親指側に2本の線が浮かび上がるのがわかる。その2本の線が交わる部分に腱鞘がある。

親指を動かすと、腱鞘部分に激しい痛みが走ったり、手首に鈍い麻痺があったりする。ドケルバン病かどうかは自分でわかる。親指を拳の中に入れて小指側に曲げていくと、手首の出っ張った部分に強い痛みが現れれば、ドケルバン病が疑われる。原因はホルモンバランスの乱れと親指の使い過ぎだ。妊婦や更年期の女性、ゲームコントローラーやパソコンを指で強く叩きつける人に多く発症する。治療は、炎症部分にステロイド薬を注射するのが一般的だが、症状が進行した場合は、腱鞘を切除する手術が必要になる。

米国内でもゲーマー親指が急増しているため、米国整形外科学会が保護者に対し、子供が親指の痛みや動かしづらさを訴えた場合には、予防と症状の進行を抑えるために、ゲーム時間を1日2時間以内に制限することなどを推奨した。

休憩をとり、親指のストレッチをしよう

そのほかの予防と発症リスク軽減方法は次の通りだ。

(1)休憩をとる。スポーツや散歩などゲーム以外の趣味を持つようにする。自発的な休憩が難しければ、コンピューターのプログラムやアラームを用いて休憩を取るようにする。

(2)正しい姿勢をとる。長時間前傾姿勢でソファの上や、パソコンやゲームの前で過ごすと、手首だけでなく背中や首、腕に痛みを引き起こす。

(3)身体を動かす。上体や体幹のストレッチは良い姿勢を促し、背中の症状を抑え、手や腕の筋肉にかかる負担を取り除いてくれる。ランニング、自転車または水泳がよい。将来のために丈夫な骨を形成する時機を逃さないためにも、子ども1日に35〜60分の運動が必要だ。

(4)痛みが生じたらゲームをやめ、それ以上続けないこと。

(5)休憩中は親指をストレッチする。自分の方に手のひらを向けて手を広げ、親指を人差し指側に折り曲げ30〜60秒保持する。これを10回ほど繰り返す。また、机の上に手を広げて親指を持ち上げて10秒保持し、力を抜いて親指を下ろす。これを10回繰り返す。

以上の方法は、子どもだけでなく、パソコンを使う大人にも参考になる。