7年前との違いを見せるために…川崎の逆転優勝へFW大久保「最後、勝つことに集中したい」
まさかのドローを告げるホイッスルが鳴り響いた直後、川崎フロンターレFW大久保嘉人はピッチの上で仰向けになって倒れ込んだ。数十秒は動けなかっただろうか。小雨まじりの敵地の夜空を見上げる脳裏には、「ダメだ」という言葉が何度も駆け巡っていた。
「鹿島がどうなっているかは分からなかったけど、逆転しているんじゃないかと」
ともに19時キックオフで臨んだ明治安田生命J1リーグ・ファーストステージ第16節。ハーフタイムの時点で、2位の鹿島アントラーズが1−1で折り返したことまでは知っていた。
キックオフ前の時点で、首位に立っていた川崎との勝ち点差はわずか1。しかも、川崎は最下位のアビスパ福岡に2点を先行され、何とか1点を返した状態で前半を終えていた。
無類の勝負強さを誇る鹿島は、後半に必ず勝ち越しゴールを挙げているはず――。大久保はそう覚悟していた。つまり川崎が後半に逆転しなければ、順位がひっくり返る。
果たして、鹿島はヴィッセル神戸からしっかりと勝ち点3をもぎ取っていた。対する川崎は引き分けに持ち込むのが精いっぱい。最終節を残して自力優勝の可能性が消滅するまさかの事態にも、大久保は試合後の取材エリアでファイティングポーズを失わなかった。
「でも、まだ分からないですからね。これで(優勝の可能性が)消滅したわけでもないし、今日の結果を教訓にするわけじゃないけど、『オレたちはうまいんだ』と自信を持って次を戦いたい」
鹿島が負けるという条件つきながら、ステージ優勝が懸かった大一番。ステージウィナーは獲得タイトルにはカウントされないものの、川崎にとって「優勝」と名のつくものは経験したことがなかった。
加えて、この試合ではキャプテンのMF中村憲剛が背中と腰を痛めて欠場を余儀なくされていた。前節まですべての試合で先発し、残り1分でベンチに下がった第9節ガンバ大阪戦を除いて、フルタイム出場を続けてきた精神的支柱がベンチにもいない。
様々な状況が絡み合った末に生まれた“いつも”とは異なる雰囲気を、中村の代わりにキャプテンマークを巻いた大久保は最前線で感じ取っていた。
「試合への入り方が悪かったし、(簡単にゴールを)入れられた。今日に限ってみんな自信を持ってプレーしていなかったように見えた。プレッシャーに弱いんじゃないか……。そうとしか考えられないでしょう。結果論ですけど、オレにはそう見えましたよね」
身長186センチのFWウェリントンの高さを生かしてくる福岡の攻撃パターンは分かっていた。それなのに、開始わずか9分でやられてしまう。ウェリントンが落としたボールをMF邦本宜裕につながれ、最後はトップスピードで駆け込んできたFW金森健志にゴールを割られた。
4試合連続で白星から見離されていた福岡サポーターは、これで一気に盛り上がる。「あの失点で浮足立ってしまった」と振り返ったのはセンターバックの谷口彰悟。メンタル面を修正する間もなく、6分後に再び金森にゴールを決められた。
22分には、最終ラインの中央で谷口とコンビを組んでいたエドゥアルドが左太ももの裏を痛めてプレー続行が不可能になり、井川祐輔を緊急投入。相次ぐ非常事態に攻撃面でも空回りが続く。
この時、大久保は中盤に下がってボールを受けたい衝動を必死にこらえながら、前線でチャンスを待ち続けていた。
「自分が下がったら、今度は前線に人がいなくなる。そうなるのが嫌だったので、我慢に我慢を重ねながら、誰かボールを受けてくれ、受けてくれと言っていたんですけどね。相手がブロックを組んでいるといっても、誰かがその間でボールを受けないとウチのサッカーは成り立たない。大胆さがなかった点が、一番もったいなかった。ちゃんと崩すのではなく、すごく攻め急いでいたからね。(大島)僚太は堂々とやっていたけど、やっぱり前を向かないでやってしまう選手もいたし、それだったら俺が下がればよかったといまでは思うけど。サイドからのクロスであれだけチャンスを作って、合わないというのは問題もある。まあ、しょうがないですね」
「鹿島がどうなっているかは分からなかったけど、逆転しているんじゃないかと」
ともに19時キックオフで臨んだ明治安田生命J1リーグ・ファーストステージ第16節。ハーフタイムの時点で、2位の鹿島アントラーズが1−1で折り返したことまでは知っていた。
無類の勝負強さを誇る鹿島は、後半に必ず勝ち越しゴールを挙げているはず――。大久保はそう覚悟していた。つまり川崎が後半に逆転しなければ、順位がひっくり返る。
果たして、鹿島はヴィッセル神戸からしっかりと勝ち点3をもぎ取っていた。対する川崎は引き分けに持ち込むのが精いっぱい。最終節を残して自力優勝の可能性が消滅するまさかの事態にも、大久保は試合後の取材エリアでファイティングポーズを失わなかった。
「でも、まだ分からないですからね。これで(優勝の可能性が)消滅したわけでもないし、今日の結果を教訓にするわけじゃないけど、『オレたちはうまいんだ』と自信を持って次を戦いたい」
鹿島が負けるという条件つきながら、ステージ優勝が懸かった大一番。ステージウィナーは獲得タイトルにはカウントされないものの、川崎にとって「優勝」と名のつくものは経験したことがなかった。
加えて、この試合ではキャプテンのMF中村憲剛が背中と腰を痛めて欠場を余儀なくされていた。前節まですべての試合で先発し、残り1分でベンチに下がった第9節ガンバ大阪戦を除いて、フルタイム出場を続けてきた精神的支柱がベンチにもいない。
様々な状況が絡み合った末に生まれた“いつも”とは異なる雰囲気を、中村の代わりにキャプテンマークを巻いた大久保は最前線で感じ取っていた。
「試合への入り方が悪かったし、(簡単にゴールを)入れられた。今日に限ってみんな自信を持ってプレーしていなかったように見えた。プレッシャーに弱いんじゃないか……。そうとしか考えられないでしょう。結果論ですけど、オレにはそう見えましたよね」
身長186センチのFWウェリントンの高さを生かしてくる福岡の攻撃パターンは分かっていた。それなのに、開始わずか9分でやられてしまう。ウェリントンが落としたボールをMF邦本宜裕につながれ、最後はトップスピードで駆け込んできたFW金森健志にゴールを割られた。
4試合連続で白星から見離されていた福岡サポーターは、これで一気に盛り上がる。「あの失点で浮足立ってしまった」と振り返ったのはセンターバックの谷口彰悟。メンタル面を修正する間もなく、6分後に再び金森にゴールを決められた。
22分には、最終ラインの中央で谷口とコンビを組んでいたエドゥアルドが左太ももの裏を痛めてプレー続行が不可能になり、井川祐輔を緊急投入。相次ぐ非常事態に攻撃面でも空回りが続く。
この時、大久保は中盤に下がってボールを受けたい衝動を必死にこらえながら、前線でチャンスを待ち続けていた。
「自分が下がったら、今度は前線に人がいなくなる。そうなるのが嫌だったので、我慢に我慢を重ねながら、誰かボールを受けてくれ、受けてくれと言っていたんですけどね。相手がブロックを組んでいるといっても、誰かがその間でボールを受けないとウチのサッカーは成り立たない。大胆さがなかった点が、一番もったいなかった。ちゃんと崩すのではなく、すごく攻め急いでいたからね。(大島)僚太は堂々とやっていたけど、やっぱり前を向かないでやってしまう選手もいたし、それだったら俺が下がればよかったといまでは思うけど。サイドからのクロスであれだけチャンスを作って、合わないというのは問題もある。まあ、しょうがないですね」