数々の魅力的なスポットをもつ観光大国・トルコ。

定番のイスタンブールやカッパドキア以外にも素敵な場所がたくさんあります。

2014年に世界遺産に登録されたばかりの歴史文化都市・ブルサをご紹介しましょう。

ウルダー山のふもとに位置するブルサは、緑に囲まれた落ち着いた街並みから「緑のブルサ」とも呼ばれ親しまれています。

1326年から1365年までオスマン帝国の初代の都が置かれていたため、古いモスクや神学校などオスマン様式の歴史的建造物の数々が残っています。


イスタンブールから南へ直線距離でおよそ100キロメートルのところに位置しており、イスタンブールからバスで、あるいはフェリーとバスを乗り継いで行くことができます。

早いのはフェリーを使う方法で、イスタンブールからブルサ中心部までおよそ2時間です。

ブルサは観光客に人気の街ですが、その大半はトルコからの国内旅行者。

外国人旅行者を見かける機会はそれほど多くなく、まだまだ素朴な表情が残っています。

イスタンブールの旧市街のような激しい客引きやなれなれしい声かけも少なく、「少し地方に足を延ばすだけでこれほど違うものか」と驚くことでしょう。

ブルサでもっとも有名な建造物の一つが、「ヘイケル」と呼ばれる街の中心部にある大きなモスク、「ウル・ジャーミィ」。

40年を費やして1421年に完成しました。

20のドームをもつ平たい構造で、イスタンブールの「スルタンアフメット・ジャーミィ(通称ブルーモスク)」のように外観が美しいシルエットを描いているわけではありません。

しかし、モスクの中に入ればその芸術性と厳かな雰囲気に魅了されるはずです。

内部に入るとまず目に飛び込んでくるのが美しい泉。

モスクには通常、外に礼拝の前に体を清める場所がありますが、ウル・ジャーミィの場合は内部に清めの泉があり、男性信者たちが手や足などを洗っています。

内部に泉があるモスクは大変珍しく、これまで数々のモスクを訪れた筆者もブルサでしかお目にかかったことがありません。

泉に負けず劣らずこのモスクを印象的なものにしているのが「アラビア書道」とも呼ばれるカリグラフィーの数々。

壁や柱を覆うカリグラフィーの存在感、芸術性が独特の神聖な雰囲気をつくり上げています。

ウル・ジャーミィの付近には屋根つきの大規模なマーケットが広がっています。

ブルサの名産である刺繍の施されたタオルやシルク製品をはじめとするさまざまな品物が並び、お土産探しにもぴったりです。

ブルサを代表するもう一つの美しいモスクが、街の東部にある「イェシル・ジャーミィ」。


「イェシル」とはトルコ語で「緑」の意味で、その名の通り鮮やかなブルーグリーンのタイルで埋め尽くされた内装が印象的なモスクです。

こじんまりとした空間でありながら、その装飾の細やかさと美しさは目を見張るほどで、さながら小宇宙のよう。

時間がたつのも忘れてこの色彩美に吸い込まれてしまいそうです。

イェシル・ジャーミィの向かいにはブルサのシンボル的存在の霊廟、「イェシル・テュルベ」があります。


1421年にメフメト1世が自らのために建てた霊廟で、メフメト1世とその子どもらが眠っています。

セルジューク朝の様式を残し、色鮮やかなタイルをふんだんに使った内装は「お墓」とは思えないほどの華やかさです。

街全体が博物館のようなブルサでは、街のいたるところで歴史的建造物が目に入ります。

歩くだけで不思議と心癒される古都の風情とモダンな雰囲気が融合した街並みは、トルコの中でも指折りの居心地の良さ。

トルコの新しい魅力に触れたいなら必ず行くべき街のひとつといえるでしょう。

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