ギリシャのドデカネス諸島のひとつ、ロドス島。

騎士団によって築かれた中世の城壁に囲まれた旧市街は、「ロドスの中世都市」として世界遺産に登録されています。

東ローマ帝国領時代、ロドス島はさまざまな勢力から繰り返し攻撃を受けていました。

東ローマ帝国が衰退しつつあった1309年には聖ヨハネ騎士団(ロドス騎士団)に占領され、以後2世紀にわたってロドス島は聖ヨハネ騎士団の本拠地となりました。

現在の旧市街には堅牢な城壁が築かれ、中世ヨーロッパの城塞都市が誕生したのです。

かつて騎士団が築いた重厚感あふれる城壁。ここが世界遺産の中世都市への入口です。

城壁内に一歩足を踏み入れれば、その名のとおり中世の街並みが広がります。

騎士団が造り上げた中世の街が、これほどの規模とクオリティで今も残っていることに感動を覚えずにはいられません。

旧市街の中心をなす「イポクラツース広場」にはカフェやレストランが並び、春から秋にかけての観光シーズンには大勢の観光客でにぎわいます。

城壁内にはいくつもの細い路地があり、好奇心のままに探検してみるのも楽しいものです。


城壁に囲まれた旧街全体がまさに天井のない博物館。

石畳の道、重厚な石造りの建物と、どこを切り取っても絵になります。

そして必ず訪れておきたいのが、「騎士団の通り」と呼ばれている通り。

この通りには、かつての騎士団の館が残っており、そのため土産物店などもなく、旧市街の中でもとりわけ中世にタイムスリップしたかのような感覚が味わえるスポットです。

聖ヨハネ騎士団(ロドス騎士団)を構成していた約500人の騎士はフランス、スペインをはじめとして、母国語に応じて8つのグループに分かれていました。

かつて中世の騎士たちが歩いた通りをたずねる……なんだかロマンを感じませんか?歴史好きの人にはきっとたまらない経験になるはずです。

そして、ロドスの中世都市観光のハイライトとなるのが、「騎士団長の館」。

もともとはロドス島がビザンティン帝国下にあった時代に軍事拠点として建設されたもので、1309年以降は聖ヨハネ騎士団の団長の住まい兼行政府として使われるようになりました。

1856年に火薬庫の爆発で崩落し、現在の姿は1937年に再建されたものです。

騎士団長の館というだけあって王族の城とは違って華美な装飾は抑えられており、重厚な雰囲気に満ちています。

館の内部で特に注目すべきは、多種多様なモザイクの装飾。

館内の2階部分の床では動物や神話をモチーフにした精巧なモザイクの競演が見られます。

館自体が質実剛健なつくりであるだけに、モザイク装飾の華やかさがひときわ目をひきます。

そして、ロドスの中世都市を語るうえで忘れてはならないのが、イスラム建築の存在です。

旧市街のなかで独特の存在感を放っているのは「スレイマン・モスク」。

ヨーロッパ出身の聖ヨハネ騎士団はもちろんキリスト教徒であり、彼らがモスクを建てたわけではありません。

オスマン帝国の攻撃を受けて、数で圧倒的に劣る騎士団はオスマン帝国のスレイマン1世と協定を結び、1523年にこの島を去ることとなったのです。

残された住民たちはキリスト教を信仰し続けることを許されましたが、ロドス島を手に入れたことを記念してスレイマン1世がモスクを建設しました。

ほかにもイスラム支配の名残が見られる建物が残っているので、注意して見てみると興味深いですよ。

騎士団が築いた中世ヨーロッパの城塞都市にイスラム建築が紛れている、そんな多様性もロドスの中世都市の面白さのひとつです。

あなたも、歴史のダイナミズムを体感しにロドス島に出かけてみませんか?

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