火星といえば赤く焼け付いた惑星というイメージがありますが、最近は川が流れていた痕跡が見つかるなど、意外な一面が明らかになりつつあります。そして先日、NASAとドイツ航空宇宙センターによる遠赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA)は、その大気の上層に原子状酸素が存在していることを観測したと発表しました。
 
SOFIAとはボーイング747SPとそれに搭載された2.5mの反射望遠鏡です。高度12kmまで飛び上がることで、大気中の水蒸気に影響されることなく赤外線を観測することができます。今回の火星大気に存在する原子状酸素も、SOFIAが高度1万1000キロから1万4000キロまで飛び上がり観測することで達成されました。
 
火星では以前にも、同惑星へと派遣されたバイキング探査機やマリナー衛星によって1970年代に原子状酸素が観測されていました。しかし今やそれが地球から観測できるのですから、技術の進歩には目を見張りますね。
 
今回観測された原子状酸素の量は、これまでの予想の半分程度でした。しかし、今回の観測は火星大気にどのような変化があったのかの研究に役立つ予定です。残念ながら現状の火星には生命体が存在する可能性は低そうですが、今後の研究によって過去の火星の姿が解き明かされることを期待しましょう!
 
Image Credit: NASA
■Flying observatory detects atomic oxygen in Martian atmosphere
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