上のふわふわした藻のような緑、こちらはスピッツァー宇宙望遠鏡と近赤外線天文観測プロジェクト(2MASS)によって捉えられた「クモ星雲」です。この赤外線で捉えた美しい天体は残念ながら私たちの目では見ることはできませんが、発展した天体観測技術のおかげでこうして楽しむことができます。
 
以前ご紹介した美しい銀河の中心では太陽質量の400万倍という巨大ブラックホールが潜んでいましたが、こちらのクモ星団は全く逆の方向に位置しています。場所は地球からの距離は1万光年、ちょうどぎょしゃ座の方角です。
 
そして星を飲み込むブラックホールとは逆に、このクモ星団は他の多くの星雲と同じように星が生成される場所だと予想されています。また、画像の中心から右側にある明るい「Stock 8」という星団からは恒星風が観測できます。この恒星風は恒星がガスを吹き出す現象で、そのガスによりこのような美しい星雲が形成されるのです。以前にも青くて美しい「散光星雲」をご紹介しましたが、星雲の柔らかい光はいつまでもボーッと見ていたい魅力に満ちています。
 
このように、赤外線を観測すると温度の低い星雲、あるいは宇宙の遥か彼方から発せられる電磁波を観測することができます。そしてその赤外線を観測すべく、ハッブル宇宙望遠鏡の後継としてジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡数が数年以内に打ち上げられる予定です。同宇宙望遠鏡は赤外線を観測することで、宇宙の始まりを解き明かすことが期待されています。私たちの目には真っ暗に見える宇宙ですが、見かたを変えるとさまざまな光(電磁波)が飛び交っていると思うと、なんだかドキドキしますね。
 
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/2MASS
■Cosmic spider shows clear signs of active star formation
http://www.gizmag.com/spider-nebula-spitzer-2mass/42834/?utm_source=rss&utm_medium=rss