日本古代史上最大の謎と言えば、「邪馬台国は、いったいどこにあったのか?」という問題だろう。江戸中期に活躍した儒学者・新井白石の研究をきっかけに、現在まで300年以上続く大論争である。

そこでJタウン研究所は2015年10月19日から12月2日までの45日間、「邪馬台国はどこにあると思う?」というテーマで、都道府県別にアンケート調査を実施した。選択肢は「九州」・「近畿」・「その他」の3つ。

はたして、全国925名の読者は「九州説」と「畿内説」、いったいどちらの学説を支持したのだろうか。

日本人の過半数が支持しているのは、どっち?

全国の投票結果をみると、その結果は明暗がくっきりと分かれる形になった。北海道から沖縄まで、全国の幅広い地域で支持を集めたのは――九州説だった。


意外な結果に

「九州」は全体の54.4%となる503票を獲得。一方の「近畿」が330票(35.7%)と伸び悩んだこともあり、結果として大きな差がついた。全国の分布を見ても、近畿地方を除くほとんどの地域で九州説が優勢だった。都道府県別で見ても、得票率8割を超えた地元・九州を筆頭に、全国32の地域で過半数(同率含む)を獲得。そのなかでも、とくに有力な候補地とされている佐賀・熊本・大分・宮崎の4県では得票率100%という分かりやすい結果が出た。

そうはいっても、近畿ではやはり「畿内説」が強さを見せた。投票率100%を獲得した奈良・和歌山を筆頭に、近畿2府5県内での得票率は68%に達した。しかし、過半数を獲得した地域が17止まりという結果を見れば分かるように、他地域からの得票はイマイチ伸びず。これが、九州説に大きく水をあけられる直接の要因となった。


それぞれのお膝元での結果は...?

ちなみに鳥取では、全国で唯一「その他」が最多得票を獲得。調べてみると、どうやら俗説の1つに「邪馬台国山陰説」というものがあるらしい。確かに、島根でもその他への投票率は20%を超えている。なかなか耳慣れない説ではあるが、両県民の間では定着しているのだろうか......。

学説では「近畿」が優勢だけど...

今回の投票では、多くの日本人が「邪馬台国は九州にあった」と考えていることがわかった。だが実は――、卑弥呼の墓という説もある「纏向遺跡」(奈良県)が2009年に発見されて以来、現代の学説では「畿内説」が比較的優勢となっているらしい。

いったいなぜ、学会の風潮とは真逆の結果が出たのだろうか。おそらくそれは、学校で「邪馬台国論争」を習った時期が関係していると思われる。

1960年代から2000年代半ばまで、学界では長らく「九州説」が有力視されていた。その傾向は、教育の現場に直接的な影響を与えたことは間違いない。つまり、多くの読者が「邪馬台国=九州」といったイメージを持っているのは、昔受けた「歴史の授業」が要因なのではないか。あくまで、推測ではあるが。