業界関係者も「わかりません...」 四国とエスカレーターの「ある謎」を探る
「四国名物」と聞いて、読者のみなさまは何を思い浮かべるだろうか。
香川のうどんに愛媛のみかん、徳島の鳴門海峡や高知土佐にある幕末関連の名所旧跡――。上記のように、四国4県を代表する特産品や名所旧跡がパッと浮かぶ人も多いだろうし、八十八霊場を巡る「お遍路さん」を名物だと考える人も少なくないはずだ。
しかし、今回Jタウンネット編集部が紹介したい四国名物は「エスカレーター」である。
あまり知られてはいないが、山地が多く平野の少ない地形で知られる四国は、日本を代表する「エスカレーター王国」なのだ。ちょっと意外かもしれないが、日本最長のエスカレーターは香川に、国内で2番目に長いものも徳島に設置されているのだ。
長い、長すぎる!「日本最長のエレベーター」の全貌
日本最長のエスカレーターは、香川県丸亀市にあるテーマパーク「ニューレオマワールド」の敷地内に存在する。全長96メートルで、乗車時間は3分14秒。つまり、乗車直前に湯を入れたカップヌードルが、頂上に達する頃には少し麺が伸びてしまっている計算だ。
これが日本一長いエスカレーターだ
「マジックストロー」と名付けられたこのエスカレーターは、夜になるとライトアップされる。加えて同園では、15年10月31日から16年2月29日まで、150万個の電飾を使用した「レオマ光ワールド」というイルミネーションイベントを実施中。このエスカレーター内も、以下の画像のように彩られるという。
テーマは「光のトンネル」
日本で2番目に長いエスカレーターは、徳島県鳴門市にある展望施設「エスカヒル鳴門」のエスカレーター。鳴門海峡の渦潮が見物できる展望台と本館を繋ぐもので、その全長は68メートル。「東洋一長いエスカレーター」を自称しているが、残念ながら国内ですら2番手止まり。
前方の人が豆粒のように見える長さ。画像はイメージです(naitokzさん撮影、flickrより)
上で紹介した国内トップ2のほかにも、四国には一風変わったエスカレーターが存在している。例えば、日本三大鍾乳洞として知られる高知の「龍河洞」付近。国指定の天然記念物・史跡に指定されている鍾乳洞は、小山の中腹辺りに位置している。いかにも歴史ありそうな石段の隣に、以下の画像のようにエスカレーターが設置されているのだ。
天然記念物にもエスカレーターが...(Angelina Earleyさん撮影、flickrより)
しかし、国内有数の規模を持つエスカレーター2基が四国に集中して設置されているのはなぜなのだろうか。エレベーター・エスカレーター事業を手掛けるいくつかの企業に問い合わせてみたが、いずれも「把握しておりません」「分かりません」といった回答だった。
茶色で表示されているのが山地で、緑が平地
これは編集部の推測になってしまうのだが、上の地図で分かるように四国の大部分は山地が広がっている。そういった環境の下で、テーマパークや観光地などある程度の敷地面積を確保しようとすれば、ある種必然的に高低差が生まれてしまう。そこで、来場者の移動手段として、大規模なエスカレーターが誕生したのだと思われる。もちろん、「日本一」や「東洋一」を目玉にしたいという意図もあるはずだが。
というわけで、読者のみなさまも、四国を訪れた際にはエスカレーターに注目してみてはいかがだろうか。