左から 高校時代の京田 陽太、西村 凌

 白河の関の先でしのぎを削る東北勢の中、宮城県勢と並んで夏の甲子園準優勝3回の実績を誇る青森県勢。その青森県で夏の甲子園出場最多の10回を誇る名門、青森山田高校について今回は紹介する。

 青森山田といえば、野球のみならず、卓球、サッカーも全国クラスの名門で、卓球は水谷 隼、福原 愛といった一流選手を輩出。サッカーも全国大会の常連で、様々なアスリートを輩出するスポーツ校だが、青森県の高校野球を牽引し、悲願の白河の関超えを目指す同校野球部には、どんな歴史があるのだろうか。

強打の八戸学院光星とは対照的に守りの野球で全国レベルの強豪となった青森山田

 青森山田が初めて甲子園に出場したのは1993年、第75回全国高等学校野球選手権記念大会。この年の甲子園には今年現役を引退した井端 弘和、高橋 尚成、のちのメジャーリーガー川上 憲伸たちが出場している。この大会で青森山田は近大附に1対9で敗戦。悲願の初勝利はならなかった。その後1999年の第81回全国高等学校野球選手権でベスト8まで進出する快進撃を見せてから、徐々に全国レベルの強豪校として地位を高めていく。

 この出場を機に青森県の高校野球界を牽引する存在になった青森山田はさらに飛躍を遂げ、2004年から2009年まで6年連続での甲子園出場を成し遂げる。この間の甲子園での最高成績は3回戦進出であった。2006年の夏の青森大会ではエースを務め、のちに東芝でプレーをする野田 雄大、日本大からJR北海道へ進む大東 憲司のバッテリーを中心に勝ち進み、決勝戦で現在読売ジャイアンツに所属する坂本 勇人(2013年インタビュー)擁する光星学院(現・八戸学院光星)を下し、3年連続での甲子園出場を決める。

 この年の甲子園大会では3回戦まで進出。3回戦の相手は史上2校目の大会3連覇を目指す駒大苫小牧(北海道)。試合は打ち合いとなり、青森山田は9対10でサヨナラ負けを喫してしまうが、9回まで9対8と1点リードし、前年優勝校を最後まで追い詰めた。そして2007年にも甲子園に出場。この年の控え投手には現在オリックス・バファローズに所属する吉田一将選手がいる。

 2010年以降は同県のライバル・八戸学院光星の躍進もあり、青森山田は甲子園から遠ざかってしまう。そんな中、名門復活を目指しこの秋から兜森 崇朗氏が監督に就任。兜森氏は青森山田OBであり、現役時代は投手として秋季東北大会の決勝まで導いた人物だ。兜森監督の新体制の下、今秋の東北大会では宿敵八戸学院光星を下し優勝を成し遂げ、明治神宮大会進出を決めた。そして迎えた明治神宮大会では東邦を破り(試合レポート)、ベスト4へ進出した。 

 青森山田が八戸学院光星と異なる点は、攻守のバランスが取れた選手が多いこと。八戸学院光星は伝統的に強打の選手が多く、次々とパワフルな打球を飛ばしていくが、青森山田は基礎がしっかりしていて、何といっても守備力が非常に高い選手が多い。大学野球の舞台でも活躍する選手が多いのは、そういった背景があるからだといえるだろう。

 青森山田は2018年に学校創立100周年を迎える。そして同じ年に選手権大会も100回を迎え、まさに記念すべき年となる。現在復活の傾向が見える青森山田の今後の動向が見逃せない。

[page_break:近年の卒業生]近年の卒業生

 これまで説明したように、青森山田は好投手、また守備力が高い野手もしっかりと育てている。投手では東芝で活躍する野田投手や、JR東日本時代では社会人野球トップクラスの好投手として注目され、プロ入りした吉田 一将投手。そして今年プロ入りした俊足巧打の外野手・山崎 晃太朗選手は守備力の高さが高く評価されている。

 今後、プロ入りが狙える選手が出てくるのか、注目だ。

■2007年卒・野田 雄大(日本大-東芝)・大東 憲司(日本大-JR北海道)

■2008年卒・吉田 一将(日本大-JR東日本-オリックス・バファローズ)※2013年インタビュー・中西 純平(亜細亜大-NTT西日本)

■2010年卒・齋藤 英輔(青山学院大-鷺宮製作所)・曲尾 マイケ(元ヤクルトスワローズ)・中村 篤人(亜細亜大-NTT西日本)・氏家 彩斗(桐蔭横浜大卒)

■2011年卒・阿部 建太(桐蔭横浜大-JR東日本東北)・阿部 亮太(桐蔭横浜大-富士重工業) 

■2012年卒・大前 将吾(國學院大)・山崎 晃大朗(日本大)※東京ヤクルトスワローズ5位指名

■2013年卒・木浪 聖也(亜細亜大)・京田 陽太(日本大)

■2014年卒・西村 凌(富士重工業)

■2015年卒・山地 大成(桐蔭横浜大)

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