パリ同時多発テロ 中国メディアが「異色」報道、「勇敢な中国旅行団」を紹介
注目を集めた理由の一つとして、中国人留学生が事件に巻き込まれたことが挙げられる。中国メディア・新京報は中国人留学生が銃弾を受け、負傷したことを紹介。記事ではテロ事件の顛末のほか、過激派組織「イスラム国」に対してフランスが派遣した軍事部隊を紹介するなど、テロ事件の背景についても述べた。
その中で中国共産党機関紙の人民日報系ニュースサイトの環球網が「異色」ともいえる記事を掲載。同テロ事件後のパリを観光する訪仏中国人を「勇敢な中国旅行団」とし、テロ発生後の１４日と１５日の両日、引き続きパリ観光を楽しむ様子を紹介した。
同記事では中国人観光客が「街の景観に問題はない」と主張。時折現れる軍人や警察官の存在については強い安心感を覚えると話したという。
環球網がなぜパリでの観光を勧めるような記事を紹介したか、意図が不明に思える内容だが、記事文末に中国から観光客を受け入れている現地企業の話や、旅行会社の話を紹介したことから旅行業界への経済的打撃について配慮していることがうかがえる。
テロ事件に関心が高まる中、このような内容の記事を掲載すれば、パリで観光することが「正しい行為」と考える読者が現れても不思議ではない。事態の早期解決のためにも、非常事態宣言が発令されているフランス・パリでの安易な観光は避けるべきだといえよう。関心が集まる話題だけに、中国での報道姿勢が改めて問われる。（編集担当：大平祥雲）（イメージ写真提供：１２３ＲＦ）
