星野源と二階堂ふみが初共演した映画の主題歌 重すぎる歌詞の裏に何が?

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 今日、インターネット上で話題になっていたのが、シンガーソングライターの星野源さんと、女優の二階堂ふみさんの交際報道だ。
 2013年公開の映画『地獄でなぜ悪い』で初めて共演した2人。ニッカンスポーツ10月28日発行の紙面では、今年の夏に公開されたウェブ動画での再共演を経て親密交際に至ったと報じている。

 さて、2人の初共演となった映画『地獄でなぜ悪い』の主題歌は、星野源さんによる書き下ろしの作品で、タイトルは映画と同名の「地獄でなぜ悪い」。明るく爽やかなメロディーとは裏腹に、歌詞は「病室」という言葉からはじまり、その後も重く、哲学的なフレーズが連なる。筆者は初めてこの歌詞を目にしたとき、空虚さの中に、生きることへの開き直りを感じた。

 星野さんのエッセイ『蘇える変態』(マガジンハウス/刊)によれば、この歌詞が書かれたのは病室であったそうだ。
 2012年年末、星野さんはくも膜下出血で倒れ緊急手術を行い、一命を取り留めた。正月明けには退院し、その2ヶ月後に復帰。『聖☆おにいさん』の書き下ろし主題歌「ギャグ」の制作を終えて、とりかかったのがこの「地獄でなぜ悪い」という楽曲だった。
 自身も出演している映画『地獄でなぜ悪い』のイメージをもって制作を進め、まずはオケが完成。それから歌詞作りに入ったのだが、なかなか進まない。そんなとき、定期検査入院の日が訪れる。
 そんな星野さんを待ちかまえていたのは、隣の個室のお爺さんのうめき声だった。「助けてくれ」「痛い」「寂しい」。そのお爺さんは、特に身体に異変がないのに、そう唸る。ただ寂しく、誰かに側にいてほしいだけなのだ。
 その声を聞きながら半年前のカテーテル手術後の不安の日々を思い出していた星野さんは、ノートを開いて「地獄でなぜ悪い」の歌詞を書いたのだという。「地獄でなぜ悪い」の歌詞の出だしは、まさにそのことが書かれている。

 『蘇える変態』は2011年から2013年までの間にファッション誌『GINZA』で連載されたエッセイをまとめたもの。
 2回、病魔に倒れながら、その間、一人の男が考えていた夢想や本当の気持ちなどが時に率直に、時にひねくれながら書かれている。真面目な話あり、卑猥な妄想あり、下ネタあり、こんなエッセイ読んでしまったら、ファンでなくても、星野源という男が作り出すものに対して目を背けられなくなる。ひたすら読ませてくれる一冊だ。
(新刊JP編集部/割井洋太)