「仕事帰りにちょっと1杯」――だけど、長居はしたくないし、出費も抑えたい。そんなニーズに対応した「ちょい飲み」サービスを始める外食チェーンが増えている。


松屋の生ビールセット(牛焼肉)、編集部撮影

専門店を浅草に出したリンガーハット

リンガーハットは2015年6月25日、江戸通りに面した浅草店の一部を改装し、ちょい飲み専門店「ちゃんぽん酒場」の1号店をオープンさせた。



ドリンクはアルコール類が11種類と、ノンアルコールビールが1種類、そしてソフトドリンクが3種類用意されている。隅田川を挟んだ向かいにアサヒビール本社が建っているせいか、ビールはアサヒだった。
食事系は餃子が6種類、「野菜豚焼き串」が10種類(このほか「本日のおまかせ盛り合わせ」もあり)。このほかに枝豆、角煮、特製唐揚げ、〆の雑炊・〆のちゃんぽんなどを提供している。


Jタウンネットは週末の夜、同店を利用した。ちゃんぽん酒場は店の2階にあり、掃除が行き届いていて清潔感がある。席数は全部で30くらいだろうか。お1人様から会社帰りとおぼしき男女のグループ、カップル、家族連れと客層は様々で、7割方席は埋まっていた。

吉野家の「ちょい飲み」対応店舗は2種類ある

牛丼チェーンの中で「ちょい飲み」のメニューが豊富なのは吉野家だ。
一部の店舗は、夕方以降の夜時間、店内の一部をちょい飲みスペース「吉呑み」(よしのみ)に切り替えている。通常の吉野家でもビールや冷酒は提供しているが、対応店舗では角ハイボールや梅酒、焼酎、ホッピーセットも用意している。
おつまみメニューは、子持ちししゃもや焼いか、ハムポテト、玉子焼。そして小盛りサイズの「〆の牛丼」など。吉野家らしく牛肉にこだわったメニューが多い。凝っているのは料理だけではない。テーブル席や喫煙席、テレビを設置する店もあるなど、サービス面も力を入れている。


「吉呑み」実施店に貼られていたメニュー価格表

「吉呑み」と同様の環境が設けられない店舗は、「吉呑みチョイ」を実施している。掲げられている提灯が白く、小さな文字で「チョイ」と書いてある。


「吉呑みチョイ」を実施している吉野家池袋北口店

「吉呑み」対応店舗と比べてメニューは絞られるが、いつものカウンターで気軽に酒を飲めるのはうれしい。


上の写真は吉野家池袋北口店のメニュー。
注意点は店舗によって多少メニュー構成が異なること。店員に確認したところ、ビールはアサヒスーパードライの瓶ビール(税込410円)しか扱っていなかった。下の写真は筆者が注文した瓶ビールと生野菜サラダ、牛煮込み。代金は合計で税込800円。


ダントツにコスパがいいのは松屋!

松屋も5月中旬から「松飲み」と呼ばれるメニューの提供を全国約150店舗で始めている。目を惹くのはその安さだ。生ビール単体が税込150円、牛または豚焼肉の「おつまみセット」が同430〜530円、ソーセージ&ポテトサラダが同150円に設定されている。

吉野家が独自のサービスとメニューを志向しているのに対し、松屋は既存メニューの具材をうまく構成し直している。

ちょい飲みしたいとき、いったいどちらを選ぶべきか――。松屋の方がややリーズナブルだが、最終的にはビールをどれだけ飲みたいかが判断の分かれ目になる。


公式サイトの掲載価格をもとに編集部作成

筆者は松屋南池袋店を利用した。


オーダーしたのは生ビールセット(おつまみ牛焼肉)とライス単品。これで税込640円だ。ビールはグラスだが、軽く酔いたいだけの人にとってはこれくらいがちょうどいいかもしれない。銘柄は吉野家と同じアサヒスーパードライで、樽生を用意している。


画像には映っていないがライス単品も注文した。

てんや」は天ぷらで差をつける

天丼チェーンの「てんや」は、アルコールと天ぷら四品盛り合わせ付きの「生ビールセット」を税込580円で提供している。生ビールはキリン一番搾りの中ジョッキで、天ぷらはエビ・いか・れんこん・いんげんとなっている。アルコールは日本酒に変更することも可能だ。
ビール中ジョッキ単体は税込400円、店内限定メニューの「冷やし甘酒 生姜入り」は同180円。


てんやの「お飲み物」メニュー(公式サイトより)

以上、外食チェーン大手4社の「ちょい飲み」メニューと価格を調べた。

ビールの量がグラス1杯でいいなら松屋がお勧め。本格的なメニューを味わいたいなら吉野家だろう。リンガーハットは今後の店舗展開次第だが、ポテンシャルは十分ある。甘酒を飲むなら「てんや」を推したい。