2006年度の総予算を審議する衆院予算委員会(大島理森委員長)は7日午前9時再開、前日最後に基本的質疑に立った前原誠司・民主党代表が格差と米国産牛肉輸入問題に絞って政府の責任を追及した。

 格差の問題で前原代表は、正規労働者とパート労働者数の比較チャートを示して、雇用・給与格差の現状を指摘、政府の見解を求めた。小泉純一郎首相は、厚生労働省が1月31日に公表した05年12月の有効求人倍数を例に取って、13年3カ月ぶりに1倍台を回復した実態に言及した。これに対して、前原代表は、月給20万円未満の非典型労働者が8割に達するとして、正規社員とパート社員の給与格差の是正、同一労働・同一賃金の徹底を政府に求めた。

 さらに、同代表は、被生活保護世帯や就学支援を受ける子供の数などを示した数種類のチャートを用意、就学支援を受けている子供の数が多いことを指摘。「親の所得格差によって子供に平等な機会が与えられていない」として、「希望の格差」に対する小泉首相の認識をただした。首相は「しっかりとした基礎学力をつけることが大事」と前置きして、「その後は本人の能力と持ち味を伸ばすことが重要」と述べて、見解のすれ違いを見せた。

 米国産牛肉再開とその後の危険部位混入に伴う輸入再停止問題で、前原代表は、「リスク管理機関」としての政府の責任を鋭く指弾した。答弁に立った中川昭一・農林水産大臣は「輸出プログラムが遵守されていなかったことが危険部位が混入した原因」として、「責任は米国にある」という立場を明らかにした上で、「輸入をストップすることがリスク管理機関の責任である」と追及をかわした。

 前原代表は、中川大臣の答弁を「論理のすり替え」と非難、「輸出プログラムの遵守が確保されなかった」と政府を糾弾。中川農水大臣は「検疫抽出度のレベルアップ、検疫官の増員などで対応、水際で特定危険部位を発見したことで政府の責任は果たした」として、議論は堂々巡り。前原代表は、政府と食品安全委員会の責任のなすり合いを野球になぞらえて、「ポテンヒットで危険な牛肉を買わされている国民」に対する政府の責任を首相にただしたが、小泉首相は、食品安全委員会の答申を引用して、「政府は適正に対応した」と、これまでの政府見解を繰り返した。

 質問の最後に、前原代表は「この問題で直接ブッシュ大統領に抗議したのか」と小泉首相に問いかけると、首相は「どのレベルの責任者に話すかはわたしが決めて、担当者に任せる」と気色ばみ、「政府として抗議した」と語気強く答えた。【了】