″ゾーンの入り口″フローに入るための4ツール
ゾーン(超集中状態)に入るチャンスを得るためには、まず、自分が“ごきげん”な状態(フロー)を保つこと。それが大切であると前回の記事では伝えました。そして、フローを阻害する要因として、人間は“ネガティブな意味付け”をする習慣があり、それに気づくことが最初の一歩です。
今回はメンタルトレーニングの第一人者である辻秀一氏に、あるJリーグの試合で持ち上がった事例をぶつけてみました。
Jリーグ第4節の浦和レッズvs清水エスパルスの試合では、スポーツ心理学として興味深い現象が起こりました。前半に1点を取って先制したエスパルスが良い試合をしながらも、1−0とリードした後は浦和に攻められ、後半に1点を奪われて最終的に1−1で引き分けました。
エスパルスのゴトビ監督は「(1−0とリードしても)受け身にならずに、さらに得点を取りに行かなければいけない。(中略)それは日本サッカーの心理的なところ、改善しなければいけない点だと思っています。1−1に追いつかれてからはエネルギーが変わって、勝ち越しゴールを取れそうな機会を作りましたが、それを1−0のときにも出せるようにしなければいけない」と語っています。
この現象について、辻氏は次のように答えています。
「1−0に対する意味付けを、どのように持つかですね。日本人のメンタリティーとして、行動の源泉が、“結果エントリー型”で指導されている人が多いんです。スポーツだから当たり前ですが、エネルギーの源泉を、勝つためだけのモチベーションで作り出されて育ってきた人は、“勝てる”というリードが起こった瞬間、そこに意味が付いて、油断や不安が発生するんですよ。そうじゃなくて自分の心の状態、“今なぜこの瞬間にサッカーをやるのか”というエネルギーの源泉が、自分の内にあるかどうか。子どもの頃に、ただ一生懸命にやったら楽しいとか、ただ今を生きることに喜びがあるとか、サッカーをやるのが好きだからこの瞬間にプレーしているとか、心がフロー状態になるためのライフスキルが育まれている外国人選手に比べると、日本は勝つためのサッカーやバスケをやらされているんですよ。もっともっと、スポーツって何なんだろうと考える必要があるのではないでしょうか。もちろん勝つためにやるんだけど、勝つことだけを源泉にしない生き方を学ぶために、スポーツというものがあるだろうと。そういうことがわからないと、1−0になったとき、すぐ油断するんです。勝ちが見えるから」
勝ち負けは大事ですが、そこに心まで支配されると、どんな状況に対しても安定して揺るがないメンタリティーを作ることはできません。
「そこには、結果がうまくいかないとかを越えた自分の動機付け、つまり自分の心を自分で作っていけるライフスキルを身に付けることが必要で、それができる選手が一流のアスリートなんですよ。だからこそ子どもの指導の中で、何を動機づけにするのか。勝ったからがんばる、他人に褒められたからがんばる、お母さんが見に来てるからがんばる、怒られるからがんばる、そういうものは環境や出来事のような外発的な動機なんですよ。それがなくなると文句を言う。たとえば褒めてくれないとがんばれないとか、お金くれないとがんばれないとか、そうなっちゃうわけですよ。そうではなく、自分の心は自分で作る。内発的な動機で、一生懸命やることが楽しいんだ、集中することが本当のやりがいなんだ、成長することが喜びなんだと、内なるエネルギーの源泉を育んでいくような声掛けを、いかに子どもの頃に体験しているかどうか。それが、本当に伸びる選手を作れるかどうかだと僕は思います」
辻氏の話を聞いていると、なぜバルセロナが強いのか、その理由が思い浮かびます。少なくとも数年前のバルサの選手たちは、バルサのサッカーをやること自体に喜びを感じている様子が強烈に伝わってきました。だからこそ、強いのではないでしょうか。
「まさにそうです。今、この瞬間に喜びを感じていることを、頭じゃなくてどれだけ経験として積むことができるか。一生懸命にやっていると気分がいいとか、みんなにありがとうと感謝すれば気分がいいとか、そういうエネルギーを自分の内側に作る経験をたくさんさせること。それがジュニア年代の指導者の絶対的なルールだと僕は思います」
勝敗などの外部要因に影響されず、その瞬間をプレーする喜びを経験することが大切ということはわかりました。ただし、バルサの場合はクラブに哲学があり、それを共有しているからこそ、バルサでプレーすることに喜びを感じる子が育ちます。しかし、そのような環境がない場合、どんなアプローチをすればいいのでしょうか?
「まずは見えにくい心の存在と価値を、組織の中に作り出すことです。自覚してくれることが始まりですね。そして、心が良いときの状態をいち早く伝えていく。一生懸命やっていると、気持ちいいだろうと。何を褒めるかが重要なんです」
辻氏によれば、フロー化を起こすためのツールは以下の4つだそうです。
・言葉
・表情
・態度
・思考
「これらで自分の心を作れる人は、内発的な動機が多いわけです。どんな言葉を使っていると気分がいいのか。“最悪”と言っていて気持ちが切り替わるのか? 言葉の使い方で気分は変わります。ピッチの上にまで持ち歩けるのは言葉ですよ。表情もそう。そういう意味では、本田(圭佑)とかは、いつも良い表情をしているから、“表情が自分の心を作る”ということをもちろん知っている。素晴らしいと思います。態度も同じ。ほとんどの人はうまくいったら良い態度、結果が出たら良い態度をとる。そうじゃなくて、本物の人は、自分が態度を作るから心も出来て、パフォーマンスが上がり、最後に結果がやってくる。自分から始まるベクトルなのか、外から始まるベクトルなのか、その違いですよ。イチローがいつもインタビューにゆっくり答えているのは、言葉を大事にしているからですよね。つまり、自分を大事にしている。自分ツールを大事にするところが始まりなんですよ。アロマでフローを作り出している人が、どこかのホテルではアロマ焚けないって断られたら焦るでしょ。でも、この4つはどこにでも持って行ける。税関で持って行かれることもないし、安心して試合中も使える。だからこれを強化している人は安定するし、強いんです」
ここで重要なのは、“自身でコントロールできる要素”で、自分の心が作られているかどうかだ。
「たとえばシュートを入れて褒められるのなら、シュートを外している間は憮然とした顔をする人が増えます。結果で褒められたいけど、結果はいつでもコントロールできるものではないから、そこにポイントがあると、どうしてもそっちに依存する人間を作りやすくなります。そうすると、褒めてくれないとがんばれない、人依存型になる。褒めるのも諸刃の剣です。だけど、“良い表情してるよね”という褒め方をされれば、自力でもフローになれる。“一生懸命やってるよね!ナイスだよね!”というのが大事。そうすると一生懸命やることが楽しくなるから、いつでもできるんです。“今日ハットトリックすげーじゃん”と褒めても、でも、ハットトリックはいつでもできるわけじゃない。そうすると、3点決めない日は機嫌が悪くなって、フローになれなくなってしまうんです」
何を指摘するのか? 何を褒めるのか? その方針を、親や指導者はしっかりと考えなければならないのではないでしょうか。そして、叱る場合はどうでしょう?
「叱るほうは、行動の内容を指示するときに叱ってほしい。たとえば間違えたことをやったときに叱る。なぜ、それをしていけないのか? 叱るときはしっかり意味付けをして、認知的に叱ってください」
褒めるときは、偶発性の高い結果や外部要因ではなく、内なるエネルギーを誘発する言葉、表情、態度、思考を褒めてフロー化を起こす。そして叱るときは、理由の意味付けをして認知的に叱る。このような習慣で子どもはどんどん伸びるのです。
次回は“ポジティブシンキングの落とし穴”について。お楽しみに!
辻 秀一
スポーツドクター。株式会社エミネクロス代表。
http://www.doctor-tsuji.com/
1961年東京都生まれ。99年、QOL向上のための活動実践の場としてエミネクロスメディカルセンター(現:(株)エミネクロス)を設立。スポーツ心理学を日常生活に応用した応用スポーツ心理学をベースに、パフォーマンスを最適・最大化する心の状態「Flow」を生みだすための独自理論「辻メソッド」でメンタルトレーニングを展開。エネルギー溢れる講演と実践しやすいメソッドで、一流スポーツ選手やトップビジネスパーソンに熱い支持を受けている。現在、「辻メソッド」はスポーツ界だけではなく、そのわかりやすく実践しやすいメソッドに反響を得てビジネス界、教育界、音楽界に幅広く活用されている。またドクターという視点を活かし、現在は健康経営という考え方を取り入れた新しい企業の経営の在り方を、産業医として取り組み、フローカンパニー創りに大きな成果を上げている。辻メソッドの真髄を学べる「あなたの人間力を10倍高める心と脳のワークショップ」は、一流アスリートやトップビジネスパーソンから大学生や主婦、コンサルタント、経営者まで、老若男女が参加。心と脳の仕組みをわかりやすく、すぐに実践できるこのワークショップは毎回大きな感動を呼び、受講者から「世界NO.1」との声もあがっている。また、スポーツの文化的価値の創出を提供するNPO法人エミネクロス・スポ−ツワールドの代表理事もつとめる。複数のスポーツが1日で楽しめるスポーツのディズニーランド「エミネランド」や、スポーツを "する" だけではなく "聴く" "支える" という形でスポーツに触れる機会を独自の形で提供している。「スポーツを文明から文化」にする活動をミッションに一般社団法人カルティベイティブ・スポーツクラブを設立。2013年より日本バスケットボール協会が立ち上げる新リーグNBDLに東京エクセレンスとして参戦予定。
今回はメンタルトレーニングの第一人者である辻秀一氏に、あるJリーグの試合で持ち上がった事例をぶつけてみました。
■結果エントリーが引き起こす“1−0”の意味付け
Jリーグ第4節の浦和レッズvs清水エスパルスの試合では、スポーツ心理学として興味深い現象が起こりました。前半に1点を取って先制したエスパルスが良い試合をしながらも、1−0とリードした後は浦和に攻められ、後半に1点を奪われて最終的に1−1で引き分けました。
エスパルスのゴトビ監督は「(1−0とリードしても)受け身にならずに、さらに得点を取りに行かなければいけない。(中略)それは日本サッカーの心理的なところ、改善しなければいけない点だと思っています。1−1に追いつかれてからはエネルギーが変わって、勝ち越しゴールを取れそうな機会を作りましたが、それを1−0のときにも出せるようにしなければいけない」と語っています。
この現象について、辻氏は次のように答えています。
「1−0に対する意味付けを、どのように持つかですね。日本人のメンタリティーとして、行動の源泉が、“結果エントリー型”で指導されている人が多いんです。スポーツだから当たり前ですが、エネルギーの源泉を、勝つためだけのモチベーションで作り出されて育ってきた人は、“勝てる”というリードが起こった瞬間、そこに意味が付いて、油断や不安が発生するんですよ。そうじゃなくて自分の心の状態、“今なぜこの瞬間にサッカーをやるのか”というエネルギーの源泉が、自分の内にあるかどうか。子どもの頃に、ただ一生懸命にやったら楽しいとか、ただ今を生きることに喜びがあるとか、サッカーをやるのが好きだからこの瞬間にプレーしているとか、心がフロー状態になるためのライフスキルが育まれている外国人選手に比べると、日本は勝つためのサッカーやバスケをやらされているんですよ。もっともっと、スポーツって何なんだろうと考える必要があるのではないでしょうか。もちろん勝つためにやるんだけど、勝つことだけを源泉にしない生き方を学ぶために、スポーツというものがあるだろうと。そういうことがわからないと、1−0になったとき、すぐ油断するんです。勝ちが見えるから」
勝ち負けは大事ですが、そこに心まで支配されると、どんな状況に対しても安定して揺るがないメンタリティーを作ることはできません。
「そこには、結果がうまくいかないとかを越えた自分の動機付け、つまり自分の心を自分で作っていけるライフスキルを身に付けることが必要で、それができる選手が一流のアスリートなんですよ。だからこそ子どもの指導の中で、何を動機づけにするのか。勝ったからがんばる、他人に褒められたからがんばる、お母さんが見に来てるからがんばる、怒られるからがんばる、そういうものは環境や出来事のような外発的な動機なんですよ。それがなくなると文句を言う。たとえば褒めてくれないとがんばれないとか、お金くれないとがんばれないとか、そうなっちゃうわけですよ。そうではなく、自分の心は自分で作る。内発的な動機で、一生懸命やることが楽しいんだ、集中することが本当のやりがいなんだ、成長することが喜びなんだと、内なるエネルギーの源泉を育んでいくような声掛けを、いかに子どもの頃に体験しているかどうか。それが、本当に伸びる選手を作れるかどうかだと僕は思います」
辻氏の話を聞いていると、なぜバルセロナが強いのか、その理由が思い浮かびます。少なくとも数年前のバルサの選手たちは、バルサのサッカーをやること自体に喜びを感じている様子が強烈に伝わってきました。だからこそ、強いのではないでしょうか。
「まさにそうです。今、この瞬間に喜びを感じていることを、頭じゃなくてどれだけ経験として積むことができるか。一生懸命にやっていると気分がいいとか、みんなにありがとうと感謝すれば気分がいいとか、そういうエネルギーを自分の内側に作る経験をたくさんさせること。それがジュニア年代の指導者の絶対的なルールだと僕は思います」
■フローに入るための4つのツール
勝敗などの外部要因に影響されず、その瞬間をプレーする喜びを経験することが大切ということはわかりました。ただし、バルサの場合はクラブに哲学があり、それを共有しているからこそ、バルサでプレーすることに喜びを感じる子が育ちます。しかし、そのような環境がない場合、どんなアプローチをすればいいのでしょうか?
「まずは見えにくい心の存在と価値を、組織の中に作り出すことです。自覚してくれることが始まりですね。そして、心が良いときの状態をいち早く伝えていく。一生懸命やっていると、気持ちいいだろうと。何を褒めるかが重要なんです」
辻氏によれば、フロー化を起こすためのツールは以下の4つだそうです。
・言葉
・表情
・態度
・思考
「これらで自分の心を作れる人は、内発的な動機が多いわけです。どんな言葉を使っていると気分がいいのか。“最悪”と言っていて気持ちが切り替わるのか? 言葉の使い方で気分は変わります。ピッチの上にまで持ち歩けるのは言葉ですよ。表情もそう。そういう意味では、本田(圭佑)とかは、いつも良い表情をしているから、“表情が自分の心を作る”ということをもちろん知っている。素晴らしいと思います。態度も同じ。ほとんどの人はうまくいったら良い態度、結果が出たら良い態度をとる。そうじゃなくて、本物の人は、自分が態度を作るから心も出来て、パフォーマンスが上がり、最後に結果がやってくる。自分から始まるベクトルなのか、外から始まるベクトルなのか、その違いですよ。イチローがいつもインタビューにゆっくり答えているのは、言葉を大事にしているからですよね。つまり、自分を大事にしている。自分ツールを大事にするところが始まりなんですよ。アロマでフローを作り出している人が、どこかのホテルではアロマ焚けないって断られたら焦るでしょ。でも、この4つはどこにでも持って行ける。税関で持って行かれることもないし、安心して試合中も使える。だからこれを強化している人は安定するし、強いんです」
ここで重要なのは、“自身でコントロールできる要素”で、自分の心が作られているかどうかだ。
「たとえばシュートを入れて褒められるのなら、シュートを外している間は憮然とした顔をする人が増えます。結果で褒められたいけど、結果はいつでもコントロールできるものではないから、そこにポイントがあると、どうしてもそっちに依存する人間を作りやすくなります。そうすると、褒めてくれないとがんばれない、人依存型になる。褒めるのも諸刃の剣です。だけど、“良い表情してるよね”という褒め方をされれば、自力でもフローになれる。“一生懸命やってるよね!ナイスだよね!”というのが大事。そうすると一生懸命やることが楽しくなるから、いつでもできるんです。“今日ハットトリックすげーじゃん”と褒めても、でも、ハットトリックはいつでもできるわけじゃない。そうすると、3点決めない日は機嫌が悪くなって、フローになれなくなってしまうんです」
何を指摘するのか? 何を褒めるのか? その方針を、親や指導者はしっかりと考えなければならないのではないでしょうか。そして、叱る場合はどうでしょう?
「叱るほうは、行動の内容を指示するときに叱ってほしい。たとえば間違えたことをやったときに叱る。なぜ、それをしていけないのか? 叱るときはしっかり意味付けをして、認知的に叱ってください」
褒めるときは、偶発性の高い結果や外部要因ではなく、内なるエネルギーを誘発する言葉、表情、態度、思考を褒めてフロー化を起こす。そして叱るときは、理由の意味付けをして認知的に叱る。このような習慣で子どもはどんどん伸びるのです。
次回は“ポジティブシンキングの落とし穴”について。お楽しみに!
辻 秀一
スポーツドクター。株式会社エミネクロス代表。
http://www.doctor-tsuji.com/
1961年東京都生まれ。99年、QOL向上のための活動実践の場としてエミネクロスメディカルセンター(現:(株)エミネクロス)を設立。スポーツ心理学を日常生活に応用した応用スポーツ心理学をベースに、パフォーマンスを最適・最大化する心の状態「Flow」を生みだすための独自理論「辻メソッド」でメンタルトレーニングを展開。エネルギー溢れる講演と実践しやすいメソッドで、一流スポーツ選手やトップビジネスパーソンに熱い支持を受けている。現在、「辻メソッド」はスポーツ界だけではなく、そのわかりやすく実践しやすいメソッドに反響を得てビジネス界、教育界、音楽界に幅広く活用されている。またドクターという視点を活かし、現在は健康経営という考え方を取り入れた新しい企業の経営の在り方を、産業医として取り組み、フローカンパニー創りに大きな成果を上げている。辻メソッドの真髄を学べる「あなたの人間力を10倍高める心と脳のワークショップ」は、一流アスリートやトップビジネスパーソンから大学生や主婦、コンサルタント、経営者まで、老若男女が参加。心と脳の仕組みをわかりやすく、すぐに実践できるこのワークショップは毎回大きな感動を呼び、受講者から「世界NO.1」との声もあがっている。また、スポーツの文化的価値の創出を提供するNPO法人エミネクロス・スポ−ツワールドの代表理事もつとめる。複数のスポーツが1日で楽しめるスポーツのディズニーランド「エミネランド」や、スポーツを "する" だけではなく "聴く" "支える" という形でスポーツに触れる機会を独自の形で提供している。「スポーツを文明から文化」にする活動をミッションに一般社団法人カルティベイティブ・スポーツクラブを設立。2013年より日本バスケットボール協会が立ち上げる新リーグNBDLに東京エクセレンスとして参戦予定。
「自分で考えるサッカーを子どもたちに」をテーマに、ジュニアサッカーに関連した情報を保護者にお届けするメディア。