また、今年10月には米国の研究機関が北朝鮮北西部、平安北道の東倉里にあるミサイル発射施設で、新たな建設工事、移動式ミサイル発射台などの拡張工事が行われ始めたことを捉えていたのだ。
 「つまり、北は明らかに核ミサイルの配備までを行いだしていた。これらは偵察衛星でもキャッチできない地下埋没式の打ち上げ施設で、韓国はもちろん、米大陸攻撃までも視野に入れた戦略施設なのです」(同)

 もっとも、気になるのは国連制裁の続く北朝鮮が暴発した場合、どんな戦火が訪れるのかという点だろう。
 軍事衝突の幕開けとなるのは、やはり韓国への攻撃だとみられている。防衛省関係者がこう語る。
 「北朝鮮は'10年に韓国・延坪島に170発の砲弾を撃ち込み、4名の死者と数十名の負傷者を出したが、米中に向けたデモンストレーションとして、まず韓国の一部にミサイル砲による攻撃を行うはず。これで米中が経済制裁を解かなければ、本格的な軍事作戦に打って出ることが予想される。その際には、最初にソウルがターゲットになるとみられているのです」

 この関係者によれば、核を積んだ弾道ミサイルの配備を進める北朝鮮は、その一方で、射程300キロの地対艦ミサイル『kn01』の改良型を完成させ、数十発をソウルに向けているという。そのため、暴発した場合はまずこれが火を噴くことになるとみられているのだ。
 また、北朝鮮はすでに時速70キロの速度が出る『先軍号』『天馬5号』などの新型戦車も開発済み。これが韓国陥落に向けて38度線を越え、侵攻する可能性も否めない。
 自衛隊関係者もこう話す。
 「つまり、北朝鮮は米中から譲歩を引き出すために、韓国を攻撃することが最も有効だと狙いを定めている。『南北統一の聖戦』と軍部を鼓舞することも可能だからです。無論、作戦決行時には米中の横槍も入るだろうが、南進の際に米国や中国が軍事参戦してくれば核ミサイル発射の動きを加速させ、さらなるミサイル外交を行おうとするでしょう。そのターゲットは、韓国ばかりでなく、日本、米国にも及ぶと予想されているのです」

 ちなみに、前記した崔竜海総軍政治局長は今年3月、北朝鮮が国連制裁を受けた際に「ワシントンもソウルも火の海にしてやる」と豪語した人物。
 北朝鮮が“世界地図”から消える日は近い。