ソニー完全復活なるか!?Xperia Z1とレンズカメラCyber-shotを生み出した背景とイノベーション

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ソニーは、スマートフォン(スマホ)とWi-FiやNFCで写真データの転送や、リモート撮影が行えるレンズカメラサイバーショット(Cyber-shot) 「QX10]と「QX100」、コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)なみのCMOSと2070万画素のカメラを搭載した「Xperia Z1」をドイツの「IFA 2013」にて発表しました。

既存の製品の枠を超える尖ったソニー製品の登場は、かつてのキラキラ輝いていたソニーが復活したようにも思えます。

長らく先進性を失っていたソニーがこのようなインパクトのある魅力的な製品を、どのようにして市場に送り出すことができたのでしょうか。

今回話題の製品発表の背景を検証してみたいと思います。


■低迷するコンデジ市場で、あえて高価格&高品質で勝負に出て成功
ソニーは、苦戦が伝えられているコンデジ市場おいて、高性能で高価格な高級コンデジ「DSC-RX1」、「DSC-RX100」を投入して状況を打破しています。

「DSC-RX1」は、ほとんどハイエンド一眼レフカメラでしか採用されていない35mmフィルムと同じ大きさの“フルサイズCMOS”を採用し、コンデジながら実売20万円を超える価格という、これまでの常識を大きく破った製品です。多くの市場関係者は20万円以上のコンデジが成功するとは予想できない中、高画質と高品質により、購入ユーザーの満足度は常に上位を占めるほどの人気機種となりました。

また、普及機である「DMC-RX100」もコンデジの中では随一という大型1インチCMOSセンサと「DSC-RX1」譲りの高品質な本体により、実売価格が長期間、高価格で崩れないほどの人気を保っています。

こうした成功を踏まえ、さらにソニーは2013年の今年、画質・本体品質を高め、Wi-Fi/NFC機能を搭載した新製品「DSC-RX1R」、「DSC-RX100M2」を投入します。Wi-Fi/NFC機能により、スマホに撮影画像を転送できる新時代デジカメに生まれ変わっています。

もともとソニーでは、上記の機種以外でも、実売2万円台の光学20倍ズーム「DSC-WX300」、実売3万円代の光学30倍ズーム「DSC-HX50V」などでもWi-Fi機能に対応するなど、スマホ連携できる新時代のデジカメ化を着々と進めています。

特にソニーデジカメのWi-Fi機能の特徴は、スマホアプリで撮影データを無線でスマホに送れるだけでなく、スマホ本体でデジカメをリモート操作できる機能が大きな特徴となっており、こうした取り組みが、今回のレンズカメラサイバーショット(Cyber-shot) 「QX10]と「QX100」の誕生の大きなバックボーンになっていると言ってもいいでしょう。


■Xperiaシリーズの改革からコンデジを超えるスマホ「Xperia Z1」誕生
今回発表された「Xperia Z1」は、2070万画素もさることながら、カメラの心臓部フィルムともいうべき撮像素子に1/2.3インチCMOSが採用されています。これは多くのコンデジに搭載されているサイズと同じサイズになります。つまり、「Xperia Z1」は名実とものにコンデジ画質と同じ品質を獲得したスマホなのです。

そもそもXperiaは、ソニー・エリクソンがグローバル展開していたスマホで、独特のフォルムやデザインでXperiaブランドを確立していました。しかし、年間でリリースする機種数や発売タイミングなど、他社と比べて十分ではなく、市場競争では遅れをとりがちでした。

ソニーは、ソニー・エリクソンの子会社化を経てソニーブランドに統合、ソニーとしてのXperiaシリーズの強化に乗り出します。デザインコンセプトの変更、機種数の増加、商戦タイミングに合わせた製品発表などの改善を進める一方で、ソニーのデジカメやウィークマンといったAV技術をXperiaに投入することで、機能面の変革も進めてきました。

その結果、今夏のNTTドコモのツートップ戦略で大きく販売数を伸ばして大きな成長を遂げています。

そして今、「Xperia Z1」でスマホカメラの常識を越えた1/2.3インチCMOSと2070万画素カメラの搭載を実現させています。


■スマホを中心にソニーのネットワークが広がる
ソニーは、Xperiaスマホで、Wi-Fi/NFCでの機器接続、それを実現するアプリ開発能力を獲得し、サイバーショットデジカメでWi-Fi/NFC搭載とスマホ連携を実現したことでノウハウと技術面をクリアし、満を持して、この2大ブランドをコラボレーションして、レンズカメラのサイバーショット(Cyber-shot) 「QX10]と「QX100」とコンデジを超えるスマホ「Xperia Z1」で新しいスマホ市場を切り開こうとしています。

サイバーショット(Cyber-shot) 「QX10]と「QX100」は、ディスプレイを搭載していないレンズ部分のみカメラです。見た目はレンズだけですが、そこには電源やズームができる機能、さらにはSDカードスロットを搭載しています。

このレンズカメラは、スマホと合体して使えるほか、スマホ本体と離して使うこともでき、一般のチルト式液晶を搭載したデジカメ以上に自由度のある撮影が可能です。使う人次第で様々な新しい活用を生み出すことができる点が大きなポイントでしょう。


なにより、スマホとの無線接続でカメラなどの異なる機器を接続して使うという新しいスタイルの提案は、時代を変えてきたソニーらしい、挑戦です。

本来のソニーらしさを取り戻しつつある今後に、大いに期待したいところです。