「リッチ定年」VS「残酷定年」診断テスト※

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年金制度の行方は不透明さを増すばかりだ。「年金が減額される」「支給開始年齢が68歳になる」といった報道があるたび、私(横山光昭氏)の事務所には「個人年金に入ったほうがいいですか?」などという問い合わせが相次ぐ。最近は20代でも「将来が不安」と相談に来る人が多い。

今後、国の社会保障制度がどうなるかはわからないが、確実に言えるのは自助努力がますます重要になるということ。老後の安心のためには、早い段階から「貯蓄力」を身につけることだ。

そのために私は、毎月使っているお金をおおまかに「消費」「浪費」「投資」の3つに分けて考えることから始めようとアドバイスしている。たとえば食費や住宅費など、生活必需品のための支出は「消費」。外食やタクシー代など「必要以上に贅沢をした」と思われる支出は「浪費」。今後のためになると感じた支出、および貯蓄は「投資」に分類するのだ。

私が理想的と考えるバランスは、消費70%、浪費5%、投資25%という家計。これに近づけるよう努力することで楽しみながら貯蓄力が身についていく。

各世代の家計簿から、どの費目に「浪費」が多いか傾向が見えてきた。まず20代に多い浪費が、セミナーや習いごとなどの自己投資と通信費だ。自己投資は「投資」と思われるだろうが、何十万円もするDVDセットや身につかない英会話の教材は「浪費」と考えるべきだ。通信費も生活や仕事に使っている部分は「消費」だが、過度のメール送受信やサイト閲覧部分は「浪費」と考える。真面目すぎて節約疲れをし、時折パーッと使うのも20代に多いパターンだ。

30代、40代は「教育費」が浪費になっているケースが多い。子どもの教育費はすべてが「投資」ではない。家計を健全なものにするには、子どもにお金のことを話すのもひとつの手だ。親が子どもにかけられる金額を明らかにし、子ども自身にやりたいことを選択させる。

ちなみにわが家では、お金についてすべてオープンにしていて、毎月1回、妻と5人の娘も参加してマネー会議を開く。収入が少ない月は子どももワガママを言わない。携帯電話代は一定額を超えたら、お年玉や小遣いから払わせる。そのためわざとお年玉を多めに渡す。使いすぎたら自分が払う額が増えるから、おのずと気をつけるようになる。正しい金銭感覚を身につけさせることも大切な教育だ。

一方、30代でまだ子どもがいない世帯ではいまを楽しむための浪費が目立つ。共働きで高収入な夫婦に限って互いの給料も家計も把握できていなかったりする。

50代、60代では生命保険料が浪費となっているケースが多い。子どもが成人しても若い頃に契約した高額な死亡保障をつけたままにしているのだ。必要な保障額は年々減り、高額な死亡保障が必要なのは子どもが独立するまで。高い保険料は「浪費」以外の何ものでもない。

60代以上の世代は、住宅ローンも払い終わり、子どもが独立した安心感も手伝って、食費や娯楽費を贅沢に使いがちだ。ローン完済後は住居費の負担がほぼないように思えるが、建物は老朽化するもの。修繕や改装が必要になることもあるので、余裕を残しておきたい。

お金が貯まる人は、とくに変わったことはしていない。月々の収入の中で支出を収めるように生活しているだけだ。ちなみにこれまでの経験から言えば、体形がメタボな人は家計もメタボな傾向があり、部屋や冷蔵庫が片づいている人は貯蓄ができている傾向がある。自分をコントロールできる能力のある人は、貯蓄力も高いということだろう。単に「○○円貯める」といった数字の問題ではない。自己コントロール力をつけることで、老後の危険度を下げていってほしい。

【図版※注】診断結果
・合計点9〜12点:残酷度90%。いますぐ家計改善を!
・合計点5〜8点:残酷度70%。頼りにしている情報源の見直しを
・合計点1〜4点:残酷度40%。一見優等生だが意外な盲点に注意
・合計点−3〜0点:残酷度20%。油断しなければまず安心。保険やローンを再点検
・合計点−4点以下:残酷度5%。このまま暮らせば豊かな老後が送れそう

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家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー
横山光昭
1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5300人以上の家計を再生した実績を持つ。

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(家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー 横山光昭 構成=八村晃代 撮影=アーウィン)