ずっと昔、初めて格闘技通信で取材してもらった時に『俺、柔道三段やからSAWに出ても勝てるって思ってトーナメントに出た』というようなことを話したんですけど、そのまんまですよ(笑)。『アマ修斗も、柔道三段やから勝てる』って出ていました。根拠のない自信というか、妄想というか……」

――最近、私はある人の影響を受けて、『自分への信頼度』というようにしているんですよ。そういう自信に対して(笑)。

「ホント、僕なんて『自分への信頼度』だけでやってきましたから。ネガティブな言い方をすると、勘違いでやってきたんです。でも、ここまでできたら、なかなか大したもんやって思いながら(笑)」

――ところで、ただでさえ急なオファーだったのに対戦相手はマーク・ストリーグルからマーク・サプノに代わりました。

「まず、マーク・ストリーグル選手にしても12連勝って素晴らしい戦績なんですが、試合の映像を見て、その動きはまぁ、そこそこやなって。実際に戦うことになった相手も……、まぁアレも大丈夫やろうと。2人とも極め力もありますし、良い選手なんでしょうけど、凄い打撃があるわけでもないし、細かい部分で……。まぁ、なんとかなるんとちゃうかって」

――6勝1敗の相手に負けられない?

「それはあります。キッチリ勝ちたいと思います。行ったことのない国で、分からないことだらけでしょうが、米国に行くときもチンするご飯を持っていっていましたし、携帯できる日本食を持っていこうかと思います。体重もこっちでスッキリ落していきたいですし、強行スケジュールですけど、そこを乗り越えて、スッキリと勝ちに行きます」

――以前、修斗時代にスクランブル発進もありました。その頃の経験がここにきて生きてきたような感じですか。

「あの頃は『No』といえる状態でなかったというのはありますが、それが漢気っていう感じだったんです。僕が穴を埋めることで、プロモーションを助けることになるって(笑)。だから、スクランブル出場に対して、腹を括るという気持ちになるのは慣れていました。『昔、やっていたから』っていうことで。

と同時に、スクランブルでチャンスを掴まえにいくという気構えは大事やと思います。スポーツとしては、どうかなってことになりますけど、気持ちの部分は大切やと。まぁ、相手あってのことなんですけど、自分の実力への過信(笑)と相手の力を見究める、そのバランスも必要ですけど。

海外での試合といっても、米国と比べると移動時間は少ないですし、しんどいことを経験していると、その点ではアジアは楽でしょうし」

――リカルド・サプノ戦を勝利すると、またストリーグルとトーナメント準決勝戦に臨むことになるのでしょうか。

「そういう方向で――と聞いています。ただ、矢地選手のケガが直って、また矢地選手が浮上するなんてことがあったら……ってビビッています(苦笑)。だからこそ、絶対に派手に勝たなアカンなって」

――王座が掛かる前に現地やルール、ケージを経験し、イベントの雰囲気を知ることができて良かったのかと思ったのですが。

「いや、僕は一発目でマーク・ストリーグルが良かったです。なんか面倒くさくて。若い戦績エェ奴だし。ストリーグルはグラップラーなんで、サプノは打撃でのKOもあるし、相性的にはストリーグルの方が良かったと思います。でも、もう結果を残すだけなので。それにしか道はないと考えてやっています」

――今年で40歳、鋼の体を持つ日本の鉄人の活躍は周囲にも勇気を与えます。

「そう言ってもらえると、もう光栄です。色んな想いがあって、タナボタでもらったチャンスだけに、この機会を生かして、そういう風に言い続けてもらえるように頑張ります」