加湿器殺菌剤によって幼児や妊婦が肺損傷で死亡した事故に関連して、韓国・環境省がこれまで無害だとしていた製品にも有害物質が含まれていたことが分かり、波紋が広がっている。複数の韓国メディアが報じた。

 韓国メディアは、「無害である加湿器殺菌剤、調べてみると人体に有毒」、「有害性が論難となった加湿器の殺菌剤成分2種が有毒」などの見出しで伝えた。

 韓国では2011年、加湿器殺菌剤が入った加湿器を使用した乳幼児や妊婦が、肺損傷による死亡や入院が相次ぎ、社会問題化した。これまでの加湿器殺菌剤による被害者数は322人で、そのうち死亡者は100人以上に上るとみられている。

 今回の調査は、加湿器殺菌剤による肺損傷が疑われる人の使用製品を分析したもので、有害物質であるCMITとMIT成分が含まれていたことが明らかになった。CMIT(クロロメチルイソチアゾリノン)とMIT(メチルイソチアゾリノン)は、殺菌・消毒機能を持つ一方で、加湿器殺菌剤として使用した場合、人体への毒性があることが確認された。今回の調査の結果、これらの物質が原因とされる被害者は、患者40人、死亡者18人の合計58人が対象になるという。

 保健福祉省・疾病管理本部は昨年2月、これらの物質の動物吸入実験をした結果、異常所見が見られなかったと発表。そのため、加湿器や加湿器殺菌剤の回収命令も下されなかった。

 しかし、それから7カ月後の昨年9月、環境省がCMITとMIT両方の物質についてラットを対象に有害性の検査をした結果、強い毒性が確認されたとして、これらの成分を有害物質に指定した。

 環境省はこれらの物質が入った加湿器殺菌剤の吸入毒性は、1リットルに0.33ミリグラムで基準値より約3倍以上高かったと付け加えた。この物質が含有された加湿器殺菌剤を使用した場合、少量でも人体に致命的な影響与える可能性があると指摘した。

 今回の発表により、保健福祉省が因果関係を究明できなかったことから補償を受けられなかった被害者らが、救済されるのか注目が集まっている。(編集担当:李信恵・山口幸治)