担当M(以下M):今年の全国高校サッカー選手権もいよいよクライマックスです。

ラモス(以下R):相変わらずおもしろそうな選手が出てきていますよね。宝の原石だから大切に育てていってほしいですね。

M:今年だけではなく、例年同じ問題が出ていると思うのですが、ケガをしている選手が無理をしながらプレーしています。それは選手にとってよくないのでは?

R:うーん、監督の考えは理解できますよ。流れを変えられる選手はどうしても使いたい。負ければ終わりですからね。多少の無理は選手にお願いしたいでしょうね。

M:ラモスさんもケガを抱えながらプレーすることがよくありました。体調が万全じゃなかったのにプレーして広島の初優勝の夢を砕いたことがありましたね。

R:1994年ですね。チャンピオンシップの第2戦でした。覚えていますよ。

M:左足に痛み止めの注射を2本打って、バンテージをぐるぐる捲いて出ていましたよね。ほとんどプレーに絡めなかったのが、85分、こぼれ球をダイレクトでシュートし、それが決勝点になりました。しかもGKの頭上を破る技巧的なループシュートでした。

R:(にっこりして)そうでしたね。あれで流れを変えたと思いますよ。だから流れを変えられる選手は監督としたら使いたいでしょう。ただ、それでも高校生なら使っていいのは15分間だと思いますよ。試合に出たら確実に患部は悪化するし、高校選手権は試合と試合の間隔が短いのだから。ケガを悪化させて選手生命を短くすることはない。

M:高校のときに優勝するのが人生の目標ではないですからね。高校のときに無理をしてその後のサッカー人生に影響がないのか心配です。

R:ケガでサッカー人生が短くなることってあるのですから。

M:骨折している選手を投入することもあります。それが自己犠牲的精神として賞賛されるようなこともありました。

R:それって本当ですか? 本当なら相当酷い! 考えられないですよ。そんな選手は絶対にプレーしちゃいけない。監督が選手の選手生命終わらちゃったらどうするの。高校生はマジメだから文句も言わずにやるのでしょうが、そのことに指導者が甘えちゃダメです。

M:美談になる風潮も止めたいですね。監督と生徒という立場だったら言いづらいかもしれませんが、はっきりと断ったほうがいい。ともかく、目標を達成した選手も、届かなかった選手もお疲れ様でした。ぜひ上のステージでの活躍を見せてくださいね。