学歴って就活に意味あった? 高学歴の就職難民たちが反省会





企業合同説明など就職活動のイベントが活発になってくる季節になりました。上位校の国立大学を卒業したのにも関わらず内定を1つももらえなかった筆者としては、心身ともに肌寒い季節です。せめて、今の就活生たちに何かタメになることを……ということで、今回は、同じく内定をもらえたことがない大学の友人2人と就活について語り合ってみました。







■3人で座談会〜就活難民たち



・黒木(筆者)

教育系の学部出身。就活時代の主な志望先は出版。1年間ライブハウスで働いたあと、フリーライターに。ライブハウスでは「大学生ってお前みたいにバカばっかなの?」言われ続け、大学の株を下げることに……



・Aくん 

経済・経営系の学部所属。就活時代の主な志望先は銀行。麻雀大好きで、雀荘(じゃんそう)を渡り歩きながらいろんな社会人と交流中。



・Bくん 

経済・経営系の学部出身。就活時代の主な志望先は商社。バーのカウンターに立って生計をたてながら、中学校教員をめざして勉強中。





■就活無勝の男たちの失敗エピソード



黒木:本来なら2011年卒就活生なのに、2012年にして1つも内定もらえたことがない僕たち3人には共通点があるかも。就活中にあった失敗エピソードってみんなどんなものがある?



A:順調だったある金融系企業の面接で、その企業を受ける上で絶対に知らなくちゃいけないニュースについての質問に答えられなかったのが本当に悔しかったなあ。面接の前日に起こった証券絡みのニュースだったんだけど、リサーチ不足で知らなくって。



黒木:面接官はどんな反応を?



A:『え? そんなこと知らないの?』って驚く感じで。ガラッと悪くなった空気の中、『勉強不足です、すいません……』って後悔しながら答えたのを覚えている(苦笑)



黒木:その1つさえ答えられていればもしかしたら、と思うと悔しいね。僕もファッション誌がメインの出版社の面接へ行ったとき、「よく買う雑誌は?」と聞かれて「週刊少年ジャンプです!」と笑顔で答えてしまった。



A:つめが甘すぎる(笑)



B:僕はある家具メーカーの個人面接の日に、電車の時間がギリギリだったからタクシー使って駅まで行ったんだけど間に合わなくって。『申し訳ありません、どうしても今日はそちらに行くことができません』って人事の方に電話したあと、仕方ないから駅周辺でパチンコを打ちに行った。



黒木:それってスーツに正装してタクシーでパチンコ屋へ行っただけじゃん(笑) それはひどすぎるなあ。みんな自分に甘いというか、ルーズというか。時間やプライドを犠牲にしてまで内定をもらおうという必死さが足りていなかったのかも。



■エントリーシートでは学歴がアドバンテージ?



黒木:僕は出版業界を中心に70社以上受けて全滅。平均よりも高い偏差値の大学に入ってこうも落ち続けると、就活に学歴が上とか下とか関係ないんだな、と個人的に実感するようになったんだけど、二人は就活に学歴って意味あると思う?



A:う〜ん。分からないけど、確かにエントリーシートで足切りにあったことはなかったかも。



B:とあるメガバンクにエントリーシートを出したときは、企業のことまったく調べなくても一次面接までいけたことがある。



A:会社で人事をやっている人から聞いた話なんだけど、何千通という履歴書の中から選考していくとき、その会社ではまずは学歴を見るって言っていた。



黒木:学歴重視で選考する人事って本当にいるんだ。学歴によるアドバンテージは総体的にみれば確かにゼロではないかも。



B:それでも面接までいくと中身を見られてばっちり落されてしまうんだけどね。



一同:(苦笑)



■内定者と僕らの違いは?



黒木:それでも、学歴だけで内定をくれる企業なんて当然なかったわけであって。内定をもらった人たちと比べ、自分らには何が必要だと思った?



B:「企業への誠意を見せること」だと思った。あるテレビ局から内定をもらった友人は、その局のチャンネルボタンが擦り切れたリモコンを最終面接に持っていって面接官にアピールしたらしい。



黒木:それは、すごいエピソードだね。手の込んだパフォーマンスから会社へ入りたいという誠意が伝わってくる。



B:今思えばおかしな話なんだけど、就活時代はありのままの自分を見てほしい!と思って何も下調べしないで面接に行っていたんだ。でも、当然しっかり調べている人の方が、「ここへ入るために勉強してくれたんだ」という評価につながって先へ進んでいた気がする。



A:僕は「プレゼンテーション能力」が必要だと思った。大学生活で自分と同じようなエピソードしかもたない人でも、それを面接で分かりやすく、魅力的に話せる人はだいたい内定をもらっていたもん。私立大学の人は大学で就活のプレゼン練習を練習させてくれるところがあるみたいで、自分を魅力的に紹介できている人が多かったような。



黒木:Aの場合はサークルの会長を務めたっていう経験があるから、エピソードを何点かうまく抜き出して分かりやすく話せていたら、結果は全然違っていただろうね。



B:黒木だって1カ月半で世界一周するとかおもしろいエピソードを持っているのに、まったく生かせていなかったよね。



黒木:普段の生活でも「お前は何を言いたいのかわからない」って言われていたからなあ。「恥や失敗を恐れないで、物事に取り組める力があります」とか、「世界一周資金をためられる計画性があります」とか、具体性がない抽象的な言葉でしか説明できなかったからダメだったのかも。



A:もったいない(笑)



黒木:「誠意をみせるパフォーマンス」といい、「プレゼンテーション能力」といい、内定をもらうために「中身の魅せ方」って確実に大事だよね。ここまで分かっていながらなぜ……。後悔してばかりいても仕方ないので、これから頑張るしかないけどね!





就活失敗者たちの三人の座談会、いかがだったでしょうか。失敗は成功の素。就活生たちは内定者たちから話を聞く機会が多いと思いますが、私たちの失敗を就職活動に生かしていただけたら、屍(しかばね)として大いに喜びを感じる次第です。皆さんのご健闘を祈っています!



(黒木貴啓+プレスラボ)