ぼくはフェミニストです。そう言うと皆さんビックリされるかも

しれませんが、今は国際的にも“女性力”が求められる時代です!

ユーロ通貨危機が表面化して以来、主要国のリーダーとしてドイツのメルケル首相の言動が注目されています。彼女の堂々としたたたずまい、指導力を見るにあたり、ぼくはグローバルイシューとして“女性力”の台頭を感じずにはいられません。

翻って日本では、例えば行政や大企業を見ても、女性の台頭はまだまだです。一般社会においても、男性が女性の力を認め、積極的に社会進出を後押ししようという機運は感じられません。こうした空気は、果たして日本にとっていいことでしょうか?

ぼくが9年間暮らしてきた中国では、男女間の格差を感じることはありません。より正確に言えば、ほかの社会的格差が大きすぎるので、男女の格差など格差と認識されないようです。そのせいか、個性の強い女性が多い。彼女たちは急成長した中国の象徴的な存在でもあります。

その個性には地域的な特徴もあります。上海から北の女性は、大胆で主張が強く、感情を露わにする傾向がある。背も高い。一方、南のほうは、体も比較的小さく、温和でしたたかといった感じです。西の重慶や四川に目を向ければ、名物の四川料理同様に“スパイシー”な女性が多いですね。

数年前、重慶市国税局の女性と仕事の宴席で一緒になったのですが、素晴らしい美貌を持ちながら、お酒がめっぽう強くて驚かされました。白酒(パイチュウ)というアルコール度数が50度を超える蒸留酒を、中ジョッキくらいの大きさのグラスに注いでは次々と空けていく。当然、ぼくも「負けてはならぬ」と同じペースで杯を重ねましたが、恥ずかしながら最終的には潰されてしまいました……。あれ以来、ぼくの女性に対する見方はまたグレードアップしました。

ぼくが大学・大学院で学んだ国際関係論の中でもフェミニズムはひとつの視座として認識されていますが、誤解を恐れずに言えば、ぼくは自分のことをフェミニストだと思っています。例えば、主要国のリーダーが全員女性になったら、今よりも確実に平和な世の中になる。個人的にはそう信じています。かつてイギリスを指導したサッチャー元首相のように、洞察力や調整力、コミュニケーション力は女性ならではの武器です。

日本には、女性が持って生まれた力を当たり前に発揮することのできるプラットフォームがありません。そもそも、どこの高校や大学でも明らかに成績優秀者は女性のほうが男性より多い。日本は学歴社会と言いながら、社会に出ると成績のいい彼女たちが正当に評価されないのは不思議でなりません。

ぼくが高度に注目しているのが、「日本にいつ女性の総理大臣が誕生するか」です。考えてみてください。ずっと男性が仕切ってきた結果が現状です。女性リーダーの登場は、日本にとって大きなターニングポイントになる可能性があります。とにかく今の日本に必要なのは、可能性を生み出す「変化」なんです。

……えっ? ぼくのタイプの女性、ですか!?

3つあります。ひとつ目は「目の輝き」。好奇心と向上心のある目を持つ女性に惹かれます。ふたつ目は、男性的な目線になってしまいますが「スタイル」。腰位置が高く、脚が長くて細い女性が好きです。そして、3つ目は「独立心の強さ」。ぼくは押しが強くなってしまう性格ですが、そんな押しに負けず、「それも理解できるけど、私はこう思うわ」と、自分の意見を静かに主張できる方がいいですね。

どうもこの手の話は苦手です。なぜ、しばしば人はこんな話を聞こうとするのか……逆に教えて!!(笑)

今週のひと言

「女性元首」の誕生が、日本の

ターニングポイントになります!

●加藤嘉一(かとう・よしかず)

1984年4月28日生まれ。高校卒業後、単身で北京大学へ留学。年間300回の取材、200本のコラム執筆、100回の講義をこなし、国境を越えて多くの著書を持つ国際コラムニスト。最新刊『脱・中国論―日本人が中国とうまく付き合うための56のテーゼ』(日経BP社)が好評発売中!