消費増税法案のA級戦犯 安住淳財務相に地元・石巻で渦巻く悪評「ちびっこギャング」(1)
安住淳財務相の出身地は宮城県石巻市。非情な震災被害に見舞われた地域だ。あれから1年3カ月、遅々として進まないご自身の地元の復旧復興をよそに、軽々しく命を懸けた野田佳彦首相の太刀持ちとして、消費増税に突き進んでいる。
今国会の会期末は残りわずか。図らずも増税断行の大臣を生み出した1票を投じてしまった地元の有権者は、今何を思っているのだろうか−−。
「復興はまだまだこれからなのに、時期が悪い。被災地感情としては、それはないだろうという感じです」
安住氏の選挙区・石巻の地元紙、石巻日日新聞の武内宏之常務取締役はこう話す。このタイミングで消費増税の先導役が被災地出身なのは皮肉な話で、消費税アップは確実に景気回復に水を差し、復興回復を遅らせるからだ。
実際、街の中を少し歩けば「復興はこれから」という武内氏の言うことがよくわかる。さすがに中心地にがれきはほとんどないが、JR石巻駅前の立町商店街は平日の昼間なのに、ほとんどの店でシャッターが閉まっている。被災する前からシャッター街になりつつあったらしいが、震災が拍車をかけたのは間違いない。
この商店街にあるサルコヤ楽器店、井上晃雄社長は「石巻を訪れた方は駅前の商店街を見て復興の様子を判断されるでしょうから、早く何とかしなければいけないのですが…」と語った。
安住氏に対する批判のうねりは、目に見えた形で確実に起きている。昨年11月に行われた宮城県議選がその始まりだ。石巻・女川選挙区には7人が立候補し、5人が当選枠。民主党現職2人が出て、安住氏も全面支援したが1人は落選、1人は最下位当選だった。その最下位当選の候補も、日付が変わってからやっと当選が出る有り様。全国紙の政治部デスクが選挙結果をこう解説する。
「投票率50%を割る低投票率でしたが、民主党が2議席、自民党が6議席それぞれ減らしました。一方、共産党と無所属が2議席ずつ増やし、増税なき復興と原発廃止を訴えたみんなの党が、初めて2議席を獲得しました。次期衆院選は増税反対、原発廃止を訴えた政党が有利であることは確かでしょう」
民主党と一緒になって消費増税しようとしている自民党も議席を減らしているのだから、やはり宮城県民は「増税ノー」を突きつけていると考えるべきだろう。安住氏の出身校である県立石巻高校の後輩はこう話す。
「母校の先輩から財務大臣という重要閣僚が出たということで、率直にうれしかったし、大いに期待しました。しかし、地元の復興をほったらかしにして消費増税だなんて、バカじゃないのかと言いたい。応援したのを後悔しています」
震災で失業し、現在は建設資材の会社でアルバイトをしている阿部さん(仮名・37歳)もこう言う。
「これまでは民主党を支持し、地域で投票を呼びかけるなど、安住さんの当選のためにがんばりました。でも、今は裏切られたような思いでいっぱいです。これから正社員の仕事が見つかるかわかりませんが、今の状態で消費税を上げると言われたら、正直キツい…」
消費税が上がるとどうなるのか。みんなの党・江田憲司幹事長は本誌2月23日号のインタビューで次のように語っている。
「私は(自民党)橋本政権のときに総理大臣秘書官として消費税を3%から5%に引き上げた当事者です。確かに上げた直後の'97年は53.9兆円の税収がありましたが、その後はずっとデフレで景気が悪く、1回たりともこの53.9兆円を超したことがありません。経済がゼロ成長のときに増税したら景気がさらに悪化して、法人税収も所得税収も落ちて、消費税分なんてチャラになってしまう…」
要はデフレから脱却して経済成長させるのが先という主張だ。こんな歴史の真実がわからないというのは、野田総理も安住氏も完全に財務省のマインドコントロールにかかっているということだろう。
15年以上にわたり、民主党国会議員数名の秘書を務めてきた現役の女性秘書は、安住氏についてこう話す。
「野田さんも安住さんも野党時代に増税論者だという話を聞いたことがありません。安住さんに関して言えば、もともと軽口をたたいて失敗するタイプ。だから、今は財務省のペーパーに乗って、とにかく失敗しないよう安全運転しているように見えます。それでも、いつかボロを出すんじゃないかと思いますが(笑)」
指摘の通り、6月5日の消費増税関連法案の審議で、震災被災地の住宅再建に対する増税の影響に対し「たとえ対策をやったとしても消費増税は反対なんですよね」と、かる〜い答弁をして失笑を買っていた。
今国会の会期末は残りわずか。図らずも増税断行の大臣を生み出した1票を投じてしまった地元の有権者は、今何を思っているのだろうか−−。
安住氏の選挙区・石巻の地元紙、石巻日日新聞の武内宏之常務取締役はこう話す。このタイミングで消費増税の先導役が被災地出身なのは皮肉な話で、消費税アップは確実に景気回復に水を差し、復興回復を遅らせるからだ。
実際、街の中を少し歩けば「復興はこれから」という武内氏の言うことがよくわかる。さすがに中心地にがれきはほとんどないが、JR石巻駅前の立町商店街は平日の昼間なのに、ほとんどの店でシャッターが閉まっている。被災する前からシャッター街になりつつあったらしいが、震災が拍車をかけたのは間違いない。
この商店街にあるサルコヤ楽器店、井上晃雄社長は「石巻を訪れた方は駅前の商店街を見て復興の様子を判断されるでしょうから、早く何とかしなければいけないのですが…」と語った。
安住氏に対する批判のうねりは、目に見えた形で確実に起きている。昨年11月に行われた宮城県議選がその始まりだ。石巻・女川選挙区には7人が立候補し、5人が当選枠。民主党現職2人が出て、安住氏も全面支援したが1人は落選、1人は最下位当選だった。その最下位当選の候補も、日付が変わってからやっと当選が出る有り様。全国紙の政治部デスクが選挙結果をこう解説する。
「投票率50%を割る低投票率でしたが、民主党が2議席、自民党が6議席それぞれ減らしました。一方、共産党と無所属が2議席ずつ増やし、増税なき復興と原発廃止を訴えたみんなの党が、初めて2議席を獲得しました。次期衆院選は増税反対、原発廃止を訴えた政党が有利であることは確かでしょう」
民主党と一緒になって消費増税しようとしている自民党も議席を減らしているのだから、やはり宮城県民は「増税ノー」を突きつけていると考えるべきだろう。安住氏の出身校である県立石巻高校の後輩はこう話す。
「母校の先輩から財務大臣という重要閣僚が出たということで、率直にうれしかったし、大いに期待しました。しかし、地元の復興をほったらかしにして消費増税だなんて、バカじゃないのかと言いたい。応援したのを後悔しています」
震災で失業し、現在は建設資材の会社でアルバイトをしている阿部さん(仮名・37歳)もこう言う。
「これまでは民主党を支持し、地域で投票を呼びかけるなど、安住さんの当選のためにがんばりました。でも、今は裏切られたような思いでいっぱいです。これから正社員の仕事が見つかるかわかりませんが、今の状態で消費税を上げると言われたら、正直キツい…」
消費税が上がるとどうなるのか。みんなの党・江田憲司幹事長は本誌2月23日号のインタビューで次のように語っている。
「私は(自民党)橋本政権のときに総理大臣秘書官として消費税を3%から5%に引き上げた当事者です。確かに上げた直後の'97年は53.9兆円の税収がありましたが、その後はずっとデフレで景気が悪く、1回たりともこの53.9兆円を超したことがありません。経済がゼロ成長のときに増税したら景気がさらに悪化して、法人税収も所得税収も落ちて、消費税分なんてチャラになってしまう…」
要はデフレから脱却して経済成長させるのが先という主張だ。こんな歴史の真実がわからないというのは、野田総理も安住氏も完全に財務省のマインドコントロールにかかっているということだろう。
15年以上にわたり、民主党国会議員数名の秘書を務めてきた現役の女性秘書は、安住氏についてこう話す。
「野田さんも安住さんも野党時代に増税論者だという話を聞いたことがありません。安住さんに関して言えば、もともと軽口をたたいて失敗するタイプ。だから、今は財務省のペーパーに乗って、とにかく失敗しないよう安全運転しているように見えます。それでも、いつかボロを出すんじゃないかと思いますが(笑)」
指摘の通り、6月5日の消費増税関連法案の審議で、震災被災地の住宅再建に対する増税の影響に対し「たとえ対策をやったとしても消費増税は反対なんですよね」と、かる〜い答弁をして失笑を買っていた。