2009年1月のMFカカーのときと同じだ。当時、大金でのマンチェスター・シティがほぼ決まっていたカカーだが、ミランサポーターの抗議に加え、ベテラン選手たちからも疑問の声が上がり、最後はシルヴィオ・ベルルスコーニ名誉会長が「カカーはミランの選手だ」と介入した。

今回のDFチアゴ・シウバのことは、デジャブのようだ。ミランは14日、公式サイトで「ベルルスコーニ会長は決めた。チアゴ・シウバはミランに残る」とメッセージを掲げた。こうして、パリ・サンジェルマン(PSG)への移籍は消滅したのだ。

PSGは1月のFWアレシャンドレ・パト獲得に続き、またもベルルスコーニ名誉会長から「ノー」を突きつけられた。同クラブは『ツイッター』の公式アカウントで、「チアゴ・シウバ獲得交渉から撤退すると決めた」と認めている。

ガッリアーニ代表取締役はパリに飛び、PSGとの交渉にあたった。だが、サポーターはこれに抗議し、選手たちからも不満の声が上がる。FWアントニオ・カッサーノはフロントに厳しいメッセージを送り、FWズラタン・イブラヒモビッチもこの動きを好まなかった。退団するMFジェンナーロ・ガットゥーゾに至っては、「2、3年は名声に見合うチームになれないだろう」と悲観的な意見を述べた。

だが、最後にはベルルスコーニ名誉会長が介入した。同名誉会長は次のように話している。

「我々の考えは変わっていない。売却の考えが固まっていたのではないのだ。PSGのような素晴らしいクラブからオファーが届いていた。我々は常に明確にしてきたし、絶対的に正しくあった。すぐに、我々のカンピオーネに対するオファーを受けると決めてはいないと言ってきたはずだ」

「だが、我々はオファーを聞きたかった。そして、抗議の声があると分かれば、答えを出すつもりだった。我々には4600万ユーロ(約46億円)という、とても興味深いオファーが届いた。そして、我々はその可能性があることを認めたのだ。それから、我々はチアゴ・シウバの代役を探すべく、センターバックのマーケットを見て、これは有益な取引ではないと判断した」

「シルヴィオ・ベルルスコーニの、古くからのロッソネーロのハートが、イタリアと欧州でミランを勝たせてくれるであろうDFに対するこのオファーに『ノー』を言わせたのだ」

アドリアーノ・ガッリアーニ代表取締役は、『milannews.It』でこう話している。

「ベルルスコーニ会長のおかげで、すごく気分が良いよ。ミランファンも満足? 私もミランファンさ。ファンはベルルスコーニ会長に感謝しなければいけない。これは英雄的だ。チアゴ・シウバを残すことで、ミランは2012年に多くのお金を失う。それを支払っているのはベルルスコーニだ。多くのチームが優れた選手たちを国外に売っている」

一方、チアゴ・シウバの代理人であるパウロ・トニエット氏は14日、『ガゼッタ』の電話インタビューで、次のように話している。

「我々はミランからの知らせを待っているところだ。だが、この数日の交渉は一つのことを明確にした。今はチアゴがミランで最も価値のある選手ということだ。ベルルスコーニ会長がどのような決断を下すか、見てみよう。それから、2016年までの契約について、現在の数字を修正するための話し合いに呼ばれるのを待つ」

これに対し、ベルルスコーニ名誉会長はこのように語った。

「年俸修正の要望? 自然なことだと思う。だが、チアゴのような素晴らしい人間と合意するのは、簡単だと思っているよ。我々は危機にある。我が家族にとっても、ミラン関連の支出を支えるのは簡単じゃないんだ」

また、イブラヒモビッチについて、ベルルスコーニ名誉会長は「彼を失うことがないのは確かだ。我々はあのポジションで世界ナンバーワンの選手だと考えている」と述べ、ガッリアーニ代表取締役も「残留は確実だ」と話した。