猫さんの五輪消滅をトップで伝えるプノンペンポスト紙

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ロンドン五輪の男子マラソン、カンボジア代表に選ばれていたお笑い芸人の猫ひろしさんに、五輪出場不可の決定が下された。国際陸上競技連盟(IAAF)が、2011年10月にカンボジア国籍を取得した猫さんが参加資格を満たしていないと判断したためだ。

地元カンボジアの英字紙はこれを大きく報道。担当記者は「カンボジア国民は喜んでいる」と話した。

「国際陸連の決定は妥当」と評価

カンボジアの主要英字紙「プノンペンポスト」電子版は2012年5月8日、IAAFが猫さんの五輪参加資格を認めないとの記事を配信した。「猫さんは五輪に行けない」との見出しが躍る。

記事では、カンボジア五輪委員会(NOCC)が猫さんをロンドン五輪代表に決定した後、「日本では激しい報道攻勢が起きたことで、彼の国籍問題に関してIAAFがカンボジア陸連(KAAF)に照会する事態に発展した」と解説した。IAAFの規約では、「国籍変更1年未満の選手は、国籍の取得から継続して最低1年居住しなければならない」となっている。

KAAF側は「猫さんは2009年以降、カンボジアに住んでいる」と説明したが、猫さんがカンボジア国籍を付与されたのが2011年10月であり、IAAFがKAAFの言い分を認めなかった。

記事を執筆したプノンペンポストのダン・ライリー記者はJ-CASTニュースの取材に対して、「IAAFの決定は妥当」と評価する。規約に抵触した点は、「猫さんの五輪参加の申請に際して、NOCCやKAAF側の不手際があった」と指摘した。

さらにライリー記者は、「カンボジア国民は今回の報を聞いて喜んでいる」と話す。もっとも、その理由は猫さん個人を嫌っているというよりは、自国に猫さんより優れたタイムを持つランナーがいながら、カンボジア在住歴が短い「外国人」が代表に選ばれたことへの「反発」とみられる。猫さんの自己ベストは2時間30分26秒だが、2008年に開かれた北京五輪のカンボジア代表、ヘム・ブンティン選手は2012年4月15日のパリマラソンで2時間23分29秒を出している。実際にブンティン選手は日本のメディアの取材にこたえて、「なぜ私より記録が劣る猫さんが代表なのか」と批判していた。カンボジアでも、ブンティン選手待望論が高まっているという。

 

「残念な気持ちでいっぱい」とコメント

猫さんは2012年5月9日、所属事務所を通じて報道各社向けにコメントを発表した。目標としていたロンドン五輪出場が寸前で消滅したことについて「残念な気持ちでいっぱい」と無念さを表現。一方で「今まで練習してきたことは決して無駄にはなりません」とし、芸人とランナーの「2足のわらじ」で今後も活動していくという。

猫さんが今後、「カンボジア人」として2016年のリオデジャネイロ五輪を目指すのか、現時点では分からない。ライリー記者は、「猫さんがカンボジアのスポーツを心から大切に思い、カンボジアに継続的に住んでトレーニングを行うのであれば、カンボジア国民は彼を『国の代表』として受け入れる用意はあるはず」と話す。そして猫さん自身が、カンボジア国内で最速のマラソンランナーだと証明すれば、誰もが認める五輪代表として歓迎されるというわけだ。

これまでブログやツイッターで、練習の様子や体調についてこまめに発信してきた。マスコミ向けコメントで「今後も引き続き、カンボジアと日本の両国を活動の場」とする旨を明かしているが、「4年後」はどうなるのだろうか。