オフィシャル・ベースボール・ガイド50周年(663回)

写真拡大

 1963年、当時の内村祐之コミッショナーが、メジャーリーグで毎年出版されていたスポーティング・ニューズ発行のオフィシャル・ベースボール・ガイドを参考にしてスタートした、日本プロ野球公式記録集「オフィシャル・ベースボール・ガイド」が今年も発売された。ちょうど50周年となるが、最初の発売元がベースボール・マガジン社。1968年からは共同通信社からの発行となり、現在に至っている。第1巻は球団旗の表紙(我々が小学生の時は、この球団旗のおまけがついた駄菓子があった)。我々世代は懐かしいが、今のファンは何これ?となりそうだ。

 米国版が2006年度版で幕を閉じているが、代わりに月2度発行のタブロイド紙・ベースボール・アメリカが年鑑(ALMANAC)を出版している。個人記録は球団ごとで、ドラフトやアマチュアに詳しい。ただ、オフィシャル・ガイド時代を知っているものとしては、リーグ単位の成績に加え、大リーグの球場別本塁打や個人投手のカード別勝敗(日本版は今でも踏襲)、年間の1試合5安打、2ケタ奪三振投手、満塁本塁打一覧などが載っていたのは、それなりに便利だった。

 オフィシャル・ガイドはチームと個人の成績がズラリ並んでいるが、お金に関するデータが毎年掲載されている事をご存じの方は少ないのではなかろうか。オールスター戦と日本シリーズの項目。第7戦までもつれ込んだ昨年の日本シリーズは総入場者数こそ新記録とならなかったが、入場料収入(15億6701万3100円)は史上最高額だった。その一方でテレビ、ラジオの放送権料を1試合平均で出すと9185万6250円、平成に入った1989年以降では全国ネットが7試合のうち4試合しかなかった2010年の8040万6750円に次ぐ2番目に低かった。2001年から2008年まで1試合平均が1億4000万円を超えていた時代から比べると35%もダウンしている(ただ、オールスター戦では掲載されている特別協賛金=コナミ=が掲載されていないのは気になる)。

 オールスター戦の放送権料はもっとひどい。2008年まで1試合平均1億2600万円だったのが、2009年以降は8400万円→4927万1775円→3168万6550円。昨年の金額は1974年当時に逆戻りだ。1試合にして価値を上げろという声もあるが、それとて1試合にして4年前の金額に戻る保証はどこにもない。オールスター戦の視聴率は米国の4大プロスポーツもそろってダウン傾向だ。それでも開催都市は単純計算で約30年に1度の大イベントだから盛りあがる。日本の場合は、機構の収入も考えてフランチャイズ球場と地方球場の2試合がベスト。そして地方球場では米国オールスターの開催都市で行っているファンフェスタのような、野球イベントを1週間くらい開催。その地方の野球熱掘り起こしに尽力する事を考えたら、どうだろう。