後半からプレーした前田。3点目となるゴールを決めた (C) Tsutomu KISHIMOTO

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6月、日本代表合宿中に古傷が悪化、途中から別メニューになった前田遼一は、喧噪を避けた場所で「これでもう呼ばれない」と寂しそうに語った。

岡田武史監督時代は、日本代表合宿に呼ばれては遠慮がちなプレーを繰り返していた前田だったが、ザッケローニ監督になって以来、がらりと態度が変わった。ときに強引とも思えるほど積極的にゴールを狙い続けたのだ。J1リーグで2年連続得点王という栄冠を手に入れた自信もあっただろう。だが、どちらかというと「年齢的にあとがないので頑張ります」(2010年10月5日のコメント)という思いが強いようだった。

だが、再び招集されてタジキスタン戦では途中出場し1ゴール。翌12日、北京でトレーニングする前田の表情は明るかった。1人ジョギングを続けながら、目が合うとにっこりしてお辞儀をしてくる。結果を出したのが本当にうれしかったのだろう。いつもあまり口数が多くない前田だが、この際、厳しいことも聞いてみることにした。

文=森雅史

――おめでとうございました。
「ありがとうございます」

――自分が日本代表にいない間に李忠成選手やマイク・ハーフナー選手が活躍していたので焦りはありませんでしたか。
「いや、それはありませんでしたよ」

――それでも呼ばれましたが。
「ちょっと驚きでした」

――6月に負傷した際、もうこれで次は呼ばれないと言っていたし、実際呼ばれていませんでした。
「もう気持ちを切り替えて、チームで頑張るしかないと思っていました。日本代表のことは考えていなかったのですが、呼ばれたという感じです(とちょっと照れたような笑い)」

――日本代表に戻ってみてどうですか?
「そうですね……うーん……楽しさがありますね。やりがいもあります」

――それが結果になって。
「はい、本当によかったです(と笑顔)」

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