日本テレビがスタジオジブリ作品「崖の上のポニョ」について、津波の表現があるため、放映を自粛していると東京スポーツ紙が報じた。このニュースはスタジオジブリ作品に対する評価が高いフランスでも話題になっている。

 ハイテク機器や日本の現代文化に関するフランスのサイト「Le Journal du Geek」では、民放局である日本テレビが放映を自粛していると紹介している。

 東日本大震災およびスタジオジブリ作品に対しての関心はフランスでも高く、記事には多くのコメントが寄せられている。

 まず多く見られるのが、題名と実際の内容が一致していない点だ。「日本テレビがこのような措置をとっているだけであり、日本で放送禁止と位置づけるのは、行き過ぎではないか」と、事態を必要以上に誇張している題名に対しての批判が多く寄せられている。

 また、放送禁止に対しては「素晴らしい作品、ストーリーもしっかりしているだけに、放送禁止の措置は残念」といった声や、「表現の自由を阻む意味合いもある、放送禁止という措置には疑問を覚える」といった声が上がっている。作品が高く評価されており、津波の表現があるだけで放送が見送られている状態は惜しいと考えられているようだ。

 一方、放送自粛への理解を示す意見も多い。「優秀な作品だが、津波といった天災は、ひいては人間の過失だというメッセージがこめられていることもあり、現在の日本の状況では視聴者の感情を刺激することにもなりかねないだろう」といった意見や、「秩序正しい日本人社会だからこそこの措置があるのでは。さまざまな人の感情に配慮するという倫理観がここにも見られ、納得できる」といったコメントが記されている。

 ほかに「賛否両論あるかもしれないが、今回の措置については日本人でなければ理解できないのではないか」「この作品が再び放映できるような状態へ、日本の復興を祈っています」といった意見もつづられている。

 作品に対しての評価が高いため、基本的には放送自粛には反対の姿勢であるが、今回の被害から日本の被災者たちに心からの理解を示そうとする様子がうかがえる。(編集担当:山下千名美・山口幸治)



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