主審がイエロー出して…ない? カードを忘れて“エアイエローカード”。

写真拡大

どのスポーツにおいても、審判は絶対の存在。たとえ選手や観客が判定に不満を持とうが、審判の言うことには従わなくてはならない。逆に言えば、試合の大きな権限を握っている審判の側も、常に選手に対して毅然とした行動が求められるものだ。とはいえ、審判とて人間である以上、ミスを起こさないわけではない。先日英プロサッカーのプレミアリーグでは、主審による珍しいミスがテレビでも放送され、ちょっとした話題を呼んだという。  

そのミスは、3月9日にリバプールのグディソン・パークスタジアムで行われた、エバートン対バーミンガム・シティの試合で起きた。プレミアリーグも終盤に差し掛かり、勝って上位との差を少しでも縮めたいエバートンの本拠地に、降格圏のバーミンガムが乗り込んで行われたこの一戦。前半17分にアウェーのバーミンガムが先制すると、エバートンも前半35分に追いつき、試合は白熱した展開を繰り広げていた。そして迎えた前半40分、「歓声が笑いに変わった」(英放送局BBCより)事件が起きる。

テレビで流れた映像は、YouTube(http://www.youtube.com/watch?v=s7cgdUuGLyQ&tracker=False)にも「Referee Peter Walton forgets his Yellow card and gives Jordon Mutch a Aircard with his hands」のタイトルで投稿されている。この場面、エバートンの選手に対してファールを犯したとして、ピーター・ウォルトン主審はプレーを止め、バーミンガムのヨルダン・マッチ選手を呼び寄せた。白のユニフォームに25の背番号を付けたマッチ選手を前に立たせ、ズボンのポケットに左手を入れたウォルトン主審。誰もがカードが出るのを想像したに違いない。

しかし、次に待ち受けていたのはおかしな光景だった。ポケットの中で何かをつまむように手を丸めたウォルトン主審だったが、上げた左手には何もなし。実は試合に入る前、主審はカードを用意するのを忘れてしまったそうで、このときが初めてカードを出す状況となり、このような行動を取ったようだ。通常なら、カードを出した後は提示記録を記入するため、少しばかり試合は止まるのだが、今回ばかりは左手を下げたウォルトン主審はそのままプレーを再開。もちろん、マッチ選手にはイエローカードがしっかり記録されている。

この後、プレーが切れた合間に「第4の審判」とも言われるアシスタントレフェリーからカードを渡されたウォルトン主審。後半には、両チーム合わせて3枚のイエローカードを提示し、その際はしっかりポケットから本物のカードを取りだしたという。