茨城県議選に注目集まる 大敗なら地方から「民主崩壊」
近く投開票される茨城県議選に注目が集まっている。民主党の小沢一郎・元代表は、同県議選で民主が「惨敗」すれば「地方が火を噴く」と述べた。連敗中の地方選で更なる敗北が加われば、菅直人政権下では2011年春の統一地方選は戦えない、という声が満ちあふれ菅降ろしが始まるだろうというヨミを披露した形だ。首相側と小沢氏側の対立の方も「火を噴く」寸前の模様だ。
小沢氏は2010年12月7日夜、小沢氏に近い中堅民主議員らと会合をし、茨城県議選に言及した。同県議選は、3日に告示され12日が投開票で現在、選挙戦の真っ最中だ。
一つ間違えば党分裂につながりかねない情勢
小沢氏発言は12月8日付の新聞朝刊各紙が伝えているが、同県議選に関して小沢氏が話したとされる表現は微妙に異なっている。朝日新聞は「仮に大惨敗すれば地方組織から不満が噴き出す」、毎日新聞は「負ければ、それが火種になって全国に広がり(以下略)」と、惨敗・敗北は「仮定」の話になっている。一方、読売新聞によると「大惨敗すると思う。そうなれば地方が火を噴く」と述べたという。
産経新聞は同様の話を伝えつつ、「民主 党内抗争の兆し」「執行部VS小沢氏」との見出しで報じた。「カネの問題」に関する小沢氏国会招致を巡る党内対立を指摘し、「一つ間違えば党分裂につながりかねない情勢だ」と分析している。
実際、民主党は地方選で負けが続いている。11月以降をみても11月14日投開票だった福岡市長選や28日投開票の和歌山県知事選、金沢市長選で民主などが推薦した候補が敗北している。21日の千葉県松戸市議選にいたっては、民主はまさに惨敗だった。
定数44のところ、民主は11人の公認候補を立てたが、当選したのは新顔2人だけだった。現職4人は全滅という厳しい結果となった。しかも、立候補した68人中得票数が少ない「ワースト5」に民主候補が3人も入っている。
同市の本郷谷健次市長は、市議選の結果について、「政権与党が地方の市議選で2人しか当選しなかったのは壊滅的」と会見で感想をもらした。ちなみに公明党の当選者数は10人で共産党は5人だった。
民主某陣営「ひたすらお願いするだけ」
同市の民主陣営の中からは「民主党というだけで批判された」という声もあがり、今や完全に民主へ逆風が吹いているようだ。12月6日付朝刊で読売新聞が報じた世論調査結果では、菅内閣支持率は1か月前から10ポイントも落ち込み、25%と「危険水域」の20%台に突入した。
茨城県議選はどうゆう状況なのか。定数65に対し106人が立候補している。民主は23人(現職は5)、自民は36人(現職35)をそれぞれ公認している。民主と自民の陣営に小沢氏の「大惨敗すれば」発言について質問してみた。
ある民主陣営関係者は「(小沢氏の)発言の前後や文脈が不明ということもあり特に話すことはない」と答えた。選挙戦の手応えについて、厳しい情勢なのかと質問しても「ひたすらお願いするだけです」と繰り返した。また、自民のある現職陣営関係者からは、「いやいや、今までの選挙と同じように緊張感をもって臨んでいます」との「公式コメント」が返ってきた。しかし、その口ぶりからは余裕が感じられないでもなかった。
茨城県議選の結果次第で、小沢氏のヨミ通り菅降ろしの声が出てくるのだろうか。
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