日本代表スピードスケートレーシングスーツ

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バンクーバー五輪で日本勢初のメダル獲得となったスピードスケート男子500メートルの長島圭一郎(銀)&加藤条治(銅)。4年前にトリノ五輪で味わった屈辱を見事に乗り越え、日本列島に歓喜の渦をもたらした。

また、そんな二人の活躍とともに大きく報じられているのが、日本代表選手が着用するレーシングスーツだろう。一部のネット上では「下着が透けているようにも見える」と話題になったりもしたが、実はこれ、選手の動きを極限まで解析することによって生み出された、各素材の配置選定における繋ぎ目がそう見えたというだけのこと。

ゴールドをメインカラーとした「日本代表スピードスケートレーシングスーツ」は、スポーツメーカー・ミズノが競技中選手の皮膚の伸縮量、方向などを解析することで、最適なスーツのカッティングや素材を導き出し、独自のウェア設計手法『ヴァーチャルボディデザイン』を採用して作られた。

まず、空気の流れが最初にあたる前頭部や胸上部には、低抵抗のウレタンラミネート素材を配置し、前モデルと比較し約5%の空気抵抗を削減することに成功した。

さらには、ハイパワーストレッチ性のウレタンラミネート素材が、伸ばした状態から素早く縮める動作が必要な腕、臀部、そして、スケーティング中に行う腰を深く折り曲げた前傾姿勢の保持といった選手の動作をサポート。その他にも、熱気の溜まりやすい頭部や肩甲骨周辺に通気性に優れた新素材を使用し、スーツ内に溜まった熱気や蒸れを放出するといった機能も兼ね備えている優れものなのだ。

競技用コスチュームといえば、北京五輪におけるスピード社「レーザー・レーサー」がその使用の可否も含めて話題となったが、選手の競技力向上の影にはメーカーによるたゆまぬ努力があることも忘れてはならない。