2010年大卒の就職活動で、7月に入ってから内々定を得ている学生が7割を切る低い水準となり、未内々定者の4人に1人が進学や留学など就職以外の進路を考えていることが、人材サービスのディスコの調査で明らかになった。日本人材ニュースHRNが継続的に実施しているヒアリング調査でも、5月時点では求人増が期待されたが、その後、新卒求人数は予想に反し伸びておらず、このままでは就職氷河期の再来は避けられない状況だ。

 
 7月1日現在、内々定率は69.6%で、前年同月比13ポイント減だった。平均内々定取得社数は、1.8社で前年の前年の2.3社を大きく下回っている。重複して内々定を得る学生も減少し、前年の59.1%に対し、14.4ポイント減の44.7%となった。4社以上から内々定を得た学生は8.4%で、前年の16.6%の半分にとどまっている。

 内々定を得ていない学生(全体の30.4%)に、就職活動の今後の見通しを聞いたところ、「内々定に近い打診があり近くもらえる見通しだ」とする回答が、前月調査の5.3%から4.6%へと減少しており、内定出しが一段落しつつある状況が予想される。
 また、「選考中の企業はあるが、内々定をもらえるかどうかはわからない」(40.7%)、「選考中の企業はなくまったく見通しがたっていない」(25.0%)を合わせた65.7%の学生が、見通しの立たない中で就職活動を続けていることが分かった。

 こうした厳しい状況の下、「就職活動以外の道(進学、留年など)を考えている」は、前月比約10ポイント増の26.9%となった。特に理系が高く、男子学生で37.1%、女子学生で33.3%と、進路を切り替えつつあることが推測される結果となった。

 この結果は、6月末時点の内々定率を調べた毎日コミュニケーションズの結果ともほぼ一致しており、2010年新卒の就職活動はかつてない厳しさになっている。
 
前回の就職氷河期では、派遣という当時は目新しかった働き方が雇用を吸収した。今は一転して、派遣が批判されているが、新しい雇用や働き方は一向に見えてこない。この深刻な状況を打開するためにも、働き方の根元を考えた政府の抜本的な雇用対策が求められている。

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