八木征志氏、武部由実子氏、宇田充氏
 映画業界の第一線で働く関係者が、ヒットの仕組み、配給の流れなど映画業界の裏側を包み隠さず語るシンポジウム「映画の裏側 -ビジネスとしての映画を覗く-」が、14日東京・秋葉原UDXで開催され、約100名が参加。その中にlivedoor Blogを利用するブロガーが招待された。

 第一部では、株式会社テレビ朝日 編成制作局 映画センター プロデューサーの八木征志氏、株式会社キノシタ・マネージメント キノフィルムズ マネージャーの武部由実子氏、アスミック・エース エンタテインメント株式会社 製作グループ 映画プロデューサーの宇田充氏というまさに“第一線”で活躍する3名が登場。今回は「邦画の新潮流―独立系×TV局×新勢力×VFX技術力!」というテーマで洋画が低迷する現在において年々拡大し、映画商業全体を支えている邦画市場について話が進行した。

 現在絶賛公開中の「ROOKIES」や、今夏公開の「ごくせん」などテレビドラマシリーズから派生した映画について八木氏は、「ドラマから映画というのはテレビの事前認知があるため強い。キャラクターができているため、一から宣伝をする手間が必要無い。また、『トリック』や『木更津キャッツアイ』などはテレビの視聴率はあまりよくなかったのにDVDが売れたため映画化されたケースですね」と映画化されるドラマが必ず視聴率を指標にしているわけではないと話した。また、映画が製作されるにおいて一番重要となってくる“資本”の部分については、武部氏より「利益では無く、企業イメージの為に出資される会社さんもいらっしゃいます。例えば、木下工務店は東映の映画に年10本以上出資していますね。現在CM中の『真夏のオリオン』もそうです」と出資にも様々なケースが考えられることを明かした。

 第二部では、映画監督、脚本家であり昨年「K-20 怪人二十面相・伝」を手掛けた佐藤嗣麻子氏、株式会社白組VFXディレクターの渋谷紀世子氏が登場。両氏が携わった「K-20 怪人二十面相・伝」の映像を実際に見ながら、「実はここがCGなんですよ」「今の部分合成です、東京をデジカメで撮った空の写真ですね」と撮影のエピソードが明かされると、CGや合成とは思えないリアルな映像の数々に参加者からは驚きの声があがった。

 映画が好きで映画関係の仕事に就きたい、という熱い気持ちを持った人々に、間口を広く、そして業界のリアルな声を交えて行われた今回のシンポジウムは大盛況のうちに幕を閉じ、参加者の終始真剣な眼差しでメモを取りながら話を聞いている姿が印象的だった。

 次回は7月5日、「映画配給・宣伝のマーケティングを暴け! ビジネスとしての映画業界」というテーマでシンポジウムが開催される。参加費はなんと無料。興味のある方はぜひ参加してみて欲しい。

「映画配給・宣伝のマーケティングを暴け! ビジネスとしての映画業界」
http://www.tdcs.jp/event/0705event
■日時:2009年7月5日(日)14:00〜16:00
■会場:秋葉原UDX 南ウィング6階 UDX Conference
■登壇者(50音順)
・アスミック・エース エンタテインメント 映画事業本部 GM 宣伝プロデューサー 廣村織香氏 :担当作品「トランスポーター3 アンリミテッド」ほか
・ギャガ・コミュニケーションズ 宣伝部部長 松下剛氏
・東映 映画宣伝部 宣伝室長 野村敏哉 氏:担当作品「劔岳 点の記」ほか
・東映 映画宣伝部 宣伝プロデューサー 孤嶋健二郎氏
・ パラマウント ジャパン 宣伝プロデューサー田中祐士氏:担当作品「G.I.ジョー」ほか

■ 関連リンク
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