金足農業で注目の「農業高校」に今なぜ女子生徒が増えているのか
秋田県勢として103年ぶりに夏の甲子園決勝に進出、惜しくも優勝は逃しましたが、ネット上にはのちに「単なる噂」と判明したものの「おかしな校則」まで拡散するなど、日本中を沸かせた金足農業(かなあしのうぎょう)。その農業高校、全国に350校あまりが存在しますが、女子生徒の割合が年々増加しているというデータを示すのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中で、その背景を紹介しています。
金足農業と豚と農業女子と。
ヘリコプターから落とされる始球式のボールが球場にちゃんと届くかハラハラし、金足農業の決勝戦進出に熱狂し、大阪桐蔭の強さが圧巻だった、高校野球100回記念大会が終わりました。
日本中が熱狂しましたが、秋田県勢として103年ぶりの決勝進出が決まった8月20日の月曜日は、レギュラーで出演している「サキドリ」(文化放送)でも、大々的に特集しました。
番組では金足農業の選手たちが通う、学校すぐ近くの鉄板焼き屋さん「大雅」のご主人や、JA秋田なまはげ農業協同組合営農センターの方に電話をつないだり。秋田出身の文化放送のアナウンサーが「秋田愛」を込めて、秋田こまちやいぶりがっこの美味しい食べ方を教えてくれたり…。
政治や事件ネタが多い報道番組で、こんなにみんながニコニコする放送は滅多にありません。秋田とは全く関係ない私までもが「郷土愛」漂うオンエアに、ワクワクしてしまいました。
純粋さや必死さというのは、こんなにも人間の心を動かすのか、と。夏の終わりに心地よい時間を日本中に提供してくれた金足農業の選手たちに心から感謝! と同時に、圧巻の試合を展開した大阪桐蔭の選手たちにも心から拍手を送りたいです。
で、今回の「裏返しめがね」では、農業高校についてお話ししようと思います。
みなさんご存知のとおり、農業にたずさわる人は年々減少し、歯止めがかからない状況が続いています。
農業就業人口は1985年には542万人いましたが、30年間で6割減少。2015年に農林水産省が行なった調査では209万人。2016年には遂に200万人を割り、192万人まで減少しました。
年齢別では、65歳以上が64%と半数強を占める一方で、39歳以下は7%未満。15〜29歳の農業就業人口は6万3,000人で、若い人を増やさないと荒廃農地が増え続けてしまうと懸念されています。
また、農業高校も2006年度に全国に353校、生徒数は約9万4,000人でしたが、少子化とともに生徒数は年々、減少しています。卒業後、農業従事者となる割合も、全体の約5%程度で、とっても少ないのです。
ですから、金足農業の活躍は全国の農業従事者の大きな希望となりました。日本農業新聞では連日とりあげ、昨日の決勝戦の結果は、号外を出すほど熱狂したのです(号外はこちら)。
そんな中、あまり知られていないのが農業高校に女性が増えているというリアルです。
農業高校の総生徒数自体は、1992年度の14万2,645人から2015年度の8万3,040人と約6割に落ち込んでいるのですが、全国的に女子生徒は増加。2015年度には女子生徒が占める割合は48.8%を記録。1992年度の31.8%から17ポイントも増え、年々伸び続けています。
例えば、東京都の農業高校の都立園芸高校では、1994年度から女子生徒が男子生徒を上回るようになり、2016年度は143人のうち88人が女子生徒でした。
女子生徒が増えた背景には、学習内容に「農業」だけでなく、フラワーアレンジメントやバイオテクノロジーが加わったこと。さらにはペットに関する科目も加わったことがあるとされています。
数々のメディアが取り上げた「農業女子プロジェクト」の発足も、農業高校を選ぶ女性を後押ししているようです。
いずれにせよ、農業関係者に「光」をもたらした金足農の選手たちって、すっごいですよね。
ちなみ、鉄板焼き屋さん「大雅」のご主人によると、選手たちの好物は「豚タン」。週に一回は食べているとのこと。豚人気も今後、高まるかもしれませんね。
image by: 秋田魁新報電子版 - Home | Facebook
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