中村航輔(撮影:Noriko NAGANO)

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日本代表合宿2日目、他の選手がフットバレーをする中、中村航輔だけはGKコーチ2人と別メニューでトレーニングしていた。グラウンドの隅で雨に打たれながらボールをキャッチし続ける。濡れそぼっていたが笑顔に溢れていた。

だが、中村は記者たちの前では表情を変えない。今回選ばれたGK3人の中で、もっとも寡黙なのが中村だ。質問への答えを一つひとつ噛みしめながら話す。言葉に込められた緊張感が伝わってくる。

「(日本代表に)来られてうれしいという気持ちとともに、まだまだだという思いでやっています。数少ない機会ですし。そこを生かすかどうかは自分次第だと思っています」

川島永嗣、東口順昭という2人に交じって何を思うのか。

「日本のトップで何年もやっている人ですし、学ぶ部分は多いですけれども、何とかその2人を超えられるようにやっていかなければいけないですね」

「自分自身が想像している以上の苦しさを永嗣さんは体験しているので、それを超えなければいけないと思います」

チーム関係者によれば、中村の特長は「シュートストップ」だ。実際、中村もその点については自信を持っている。また、中村は気後れするタイプではない。どうすれば自分が2人より前に行けるのか考えていた。

「シュートを止める部分に関して言えば負けたくないと思います。自分にもいい部分がありますし、2人のいいものを吸収していければいいと思います」

「(出場できたら)いつもどおりやりたいと思います。いつも(柏)と違うメンバーですけれども、それを含めて上に行かなければいけないと思っています」

代表チームでやれるという自信は付いたのだろうか。そう聞かれると中村は「やらなければいけないという気持ちが強いです」と言う。日本代表に選ばれたという責任感がヒシヒシと伝わってくる。

最後まで淡々と答え、すべての質問が出尽くすのを待って中村は選手バスに向かった。6月に初選出されて3回目の合宿参加だが、すっかり落ち着いて馴染んでいる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はGKの起用に関して慎重だが、今季の柏の躍進と中村の貢献を考えると、早いうちに起用してもおかしくはないだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】