「埼スタのピッチを利用して、上手くバウンドさせられた。あれは決めてもらいたかった」
 
 西川は笑みをたたえつつも、真剣にそう語った。あのキックに味方が反応して決めてくれただけでもラッキーだった、というニュアンスではない。本気で、関根にゴールを決めてくれなければ、と注文していた。
 
 浦和は今季3試合、早くもリーグ最多9得点を奪取。GKもゴールに関与する--。浦和はそれが“当たり前”になりつつあるのだ。
 
 一方、守備面に目を移すと、2勝1敗で4位まで順位を上げてきたものの、リーグ戦はいまだ無失点試合がない。今回も2-0とリードしたあと、サイドを攻略されてドゥドゥに鮮やかなボレーを叩き込まれた。後半にふわっとした対応から、失点する展開が続いている。
 
  そのあたりを西川も、もちろん納得していない。
 
「やはり、まずは何より無失点で抑えたかった。気持ちは晴れない。そろそろ、気持ち良くここ(ミックスゾーン)を通りたい」
 
 ゴールを守るためのGKが、あくまでも前提ではある。加えて、ゴールを奪うためのGKでもある――。そんな“攻撃的GK”として、今季こそリーグ優勝を誓う。
 
 3月15日にACLの2連勝同士でぶつかる上海上港と、さらに19日には日本代表の同僚であるGK東口順大のいるG大阪と、いずれもアウェーゲームを控える。攻守両面で、西川が間違いなくキーマンになる。
 
■参考資料■
2017J1リーグ
3節のGKの総走行距離ランキング
 
順位 名前(所属)走行距離/km
1位 西川周作(浦和)6.108
2位 ク・ソンユン(札幌)5.769
3位 クォン・スンテ(鹿島)5.19
4位 東口順昭(G大坂)5.063
5位 カミンスキー(磐田)5.044
6位 林 彰洋(FC東京)4.947
7位 関憲太郎(仙台)4.888
8位 六反勇治(清水)4.815
9位 中村航輔(柏)4.701
10位 キム・スンギュ(神戸)4.606
11位 加藤順大(大宮)4.284
12位 権田修一(鳥栖)4.270
13位 林 卓人(広島)4.217
14位 守田達弥(新潟)4.198
15位 岡 大生(甲府)4.174
16位 飯倉大樹(横浜)4.141
17位 丹野 研太(C大阪)3.830
18位 チョン・ソンリョン(川崎)3.340

 
 取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)