大きな夢に向かって、2人の物語は始まったばかり――The Super Ball インタビュー
昨年、メジャーデビューを果たしたThe Super Ballが、1月18日に2ndシングル『キミノコエガ・・・。』をリリースする。2013年にユニットを結成して以来、路上ライブを中心に経験を積んできた実力派。ギター&ボーカルの佐々木陽吾と、ピアノ&ボーカルの吉田理幹の才能から生まれる楽曲は私たちに寄り添い、ときにはやさしく包み込み、ときには強く背中を押してくれる。ほのぼのした雰囲気を醸し出しているが、音楽に対する気持ちは真摯で情熱的! 絶妙なハーモニーで聴く人の心をわしづかみにしているスパボのふたりに、出会った頃の印象から語ってもらった。

撮影/すずき大すけ 取材・文/花村扶美 ヘアメイク/大坪真人

正反対の性格の2人が出会った! スパボ結成秘話



――ライブドアニュースに初登場ということで、ユニットを結成したいきさつからお伺いしたいのですが、おふたりの最初の出会いは、某レコード会社のオーディションの控室だったそうですね。

吉田 はい、そのときのことは鮮明に覚えています。控室でイヤホンをつけて集中力を高めていたところに、飛んだお調子者が入って来たぞ、と(笑)。
佐々木 今振り返ると空気が読めてなかったですね(苦笑)。当時は大学生で、青森から出てきたばかりだし舞い上がっていたのかも。ライバルではあるけど、普通に仲良くなりたいと思って、「どこで活動してるの?」とか「月に何回くらいライブをやってるの?」とか、いろんな人に話しかけまくって、結果、理幹の集中を邪魔してたという。
吉田 だから、最初は苦手意識が強かったです。友だちにはなれないなぁって(笑)。

――吉田さんに声をかけたことは覚えていますか?

佐々木 はい。理幹は笑顔で答えてくれたよね?
吉田 心の中では「キツいな」って思いながら、顔は「アハハハ」みたいな感じでした。

――そうだったんですか(笑)。

吉田 でも、人としては苦手だけど(笑)、声がめちゃめちゃいいなと思って。そのオーディションはふたりともダメだったんですが、それから1年後くらいにふと、「あのいい声だった人、何をやってるのかな?」って思って、僕から連絡して飲みに行ったんです。

――そこですぐに意気投合?

吉田 いえ、話を聞いてみると、そのときの陽吾さんは“仕事をしながら音楽が続けられたらいい”というスタンスだったんです。僕は絶対に音楽で成功してやるんだ! 音楽で夢を叶えるんだ!って思っていたので、自分の熱量と合わないかもって……。
佐々木 僕はちょうどその頃、音楽に対して限界を感じ始めていて……。教員免許もあるから、働きながら趣味で音楽をやれたらいいかな、くらいに思っていたんです。でも……。

――吉田さんの影響を受けて、気持ちが変わっていった?

佐々木 はい。理幹とスタジオに入って声を合わせてみて、これはイケるなって確信したんですよね。理幹はプロ志向が強くて、企業からの内定が決まっていたのに、それを蹴って音楽に賭ける!って言うんですよ。“こんなヤツいるんだ?”って、ものすごく刺激を受けました。理幹の才能に、気持ちに、グイグイ引っ張ってもらいました。


▲佐々木陽吾


――去年の7月に『トモダチメートル』でメジャーデビューされてから半年が経ちました。メジャーデビュー前と後で変わったことはありますか?

佐々木 デビュー前は路上やSNSの配信がメインだったんですけど、デビュー後は取材していただいたり大きな場所でライブをやったり、活動範囲が拡がりましたね。
吉田 たくさんの人たちが僕たちのために力を注いでくれるので、やっぱり責任じゃないですけど、もっと頑張らなきゃってより強く思うようになりました。
佐々木 だけど、メンタル的なところは変わってないよね。ふたりで叶えたい夢は、結成当初からいっぱいあって、もちろんメジャーデビューもそのひとつでした。でも、まだまだいっぱい叶えたい夢があるので、このまま進んでいくぞっていう感じです。

――2013年に結成して今年で4年目ですが、ここまであっというまでしたか? それとも、長かったなぁ…という感じなのでしょうか?

吉田 自分はあっというまでした。
佐々木 僕もあっというまですね。
吉田 最初は路上ライブで誰もいないところから始まって、どうしたらお客さんに足を止めてもらえるか、ふたりで考えて。ライブハウスでやっても、友だちが5人しか来なかったり。そこから少しずつですけど、お客さんが増えていくのがうれしかったですね。もちろんツラいこともあったけど、つねに前を向いてやってこれた3年間でした。

――並々ならぬ努力をされてきたんでしょうね。

佐々木 バイトと睡眠以外はほとんど音楽に費やしてきました。路上ライブだったり動画配信だったり作詞作曲だったり……なので、時間があっというまに過ぎるように感じたというか。
吉田 そう。「あっというまに赤坂BLITZでライブができた」っていう感覚ではないんですよ(笑)。
佐々木 がむしゃらにやってきて、気づいたらここまで来てたっていう感じです。


▲吉田理幹


ニューシングルは「日本中すべての人に聴いてほしい」



――1月18日にリリースとなる2ndシングル『キミノコエガ・・・。』ですが、作詞作曲ともにThe Super Ballというクレジット表記になっていますよね。どのように作っているんですか?

佐々木 どちらかが基となる楽曲を作って、一緒に作ろうって誘うんです。
吉田 『キミノコエガ・・・。』もそうでした。2年前に基となる楽曲を作ったんですけど、僕が原型を作って。当時、6畳一間の陽吾さんの部屋に転がり込んでいたので、近所迷惑になるから公園へ出かけたんです。
佐々木 ギターとピアノを持っていってね。まぁ、夜中に何やってるのって警備員さんに怒られちゃったんだけど(苦笑)。

――詞はどのように作ったんですか?

佐々木 詞も一緒に作りました。遠距離恋愛中の恋人への歌のようにも聞こえるかもしれないけど、Twitterなどで全国から応援してくれるファンのみんなの声が、離れていても伝わっているよ、ということを伝えたくて作りました。

――カップリングの『おいで』は、女心をくすぐるラブバラードですね。

吉田 「おいで」というワードを使ってラブソングを作りたいな…っていうところから始まった曲です。
佐々木 理想のメンズ像ソングだよね。
吉田 こうありたい!っていう(笑)。昔の実体験とかをふたりで話しながら。
佐々木 女の子って突然、機嫌が悪くなっちゃうけど何でだろうね?って(笑)。
吉田 女性目線に完全にはなれないですけど、好きな男性にどんなことを言われたらキュンキュンするのかなとか、めちゃくちゃ考えました。
佐々木 こういうメンズ像はどうですか?

――いいなと思います。女の子の気持ちをよく汲み取っているなって。レコーディングはスムーズに進みましたか?

吉田 『キミノコエガ・・・。』は、自分たちにとっても思い入れが強い曲なので、通常は1日で終わるところを2日間かけて何度も録り直したんです。
佐々木 いいレコーディングができました。納得いく曲になったよね。
吉田 うん、妥協せずにできた。ちょっとした声色だったり、息使いや語尾の伸ばし方、ビブラートのかかり具合だったり。
佐々木 僕らはやっぱりハーモニーにこだわっているので、ハモリの細かい粒まで合わせたいっていう気持ちで臨みました。

――そこまで細部にこだわったシングルが届けられるなんて、感無量ですね。

佐々木 本当に。日本中のすべての人に聴いてほしいです!!
吉田 僕らは東京ドームでコンサートをするという夢があって、そのために頑張ろうっていう気持ちで日々活動しているんですけど、この曲に関しては、純粋にひとりでも多くの人に届いてほしいという気持ちが強いです。



――2月15日には待望の1stアルバム『スパボ! スパボ! スパボ!』がリリースされます。スパボの“今”が詰まったアルバムですね。

佐々木 3年間書きまくった曲たちの中から厳選して、ライブで育ててきた曲をいっぱい詰め込みました。僕たちの3年間の集大成です。
吉田 こんな曲も歌うんだ、こんなカッコいいのもあるんだっていう、これまでのシングル曲とは違った一面が出せたアルバムになってます。

――4月には東名阪ライブツアーもあります。

佐々木 2017年も飛ばしますよ!
吉田 僕たち、ライブをしているときが、人生でいちばん楽しいってはっきり言えます。普段の生活の中でストレスが溜まることってたくさんあると思うんですけど、そういうストレスを、スパボのライブで全部解消してあげられる自信があります!

――日頃のストレスを発散できる?

吉田 はい。みんなで歌ったり、一緒に踊ったり。僕たちの歌で背中を押してあげられるので、次の日も頑張ろうって思って帰ってもらえると思います!
佐々木 CDよりも生歌のほうが感動させられる自信があります! あと、一緒に住んでいるからこそ飛び出す、僕ららしいMCも楽しんでいただけると思います(笑)。