サスペンスドラマのロケにも使われている「東尋坊」。

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福井県坂井市の「東尋坊」といえば観光名所である一方、自殺者の多い場所として知られているが、スマホアプリ「ポケモンGO」の大ヒットが自殺の抑止に役立っているという指摘がテレビで放送され、話題になっている。

「東尋坊」がレアポケモンが出現するスポットになっていて、昼夜問わずにプレイヤーが集まってきて、彼らが自殺防止のパトロール的な存在になり、深夜の岩場で思い悩む人の姿を見かけなくなったのだというのだ。本当なのか。

レアポケモンが続々ゲットできる名所に

このニュースを伝えたのはフジテレビ系朝の番組「めざましテレビ」(2016年9月7日放送)。昼に夜にポケモンをゲットするために集まって来る沢山のポケモンプレイヤーの姿を映し、彼らの出現である変化が起こっていると紹介した。それは、自殺の抑止につながっているというのだ。

自殺のない社会づくりを目指し、「東尋坊」でもパトロールをしているNPO法人「心に響く文集・編集局」の茂幸雄理事長が出演し、ポケモンプレイヤーの存在は、自殺をしようとしている人を見つけるための巡回の役割を担っている、とし、

ポケモンプレイヤーの姿を見て、考える時間があって、自殺はダメだと思い直す機会になるのではないかと思う。深夜に岩場で思い悩む姿を見かけなくなった」

と語っている。

ポケモンGO」といえば、プレイ中の交通事故や無断侵入といった悪い話題ばかりだったが、やっといいニュースが報じられたとしファン達は大喜びし、

「良い効果だ、続け!!」
「こういう発想は素晴らしい」
「よし、次は富士の樹海だ」

などといったことが掲示板に書き込まれた。

なぜ「東尋坊」にプレイヤーが集まっているのか。「ポケモンGO」が日本でリリースされた16年7月22日から数日して「東尋坊」に行けばレアなポケモンがゲットできるとツイッターで話題になったのだ。

「会えたら超ラッキー:プテラ、カイリュウー、エビワラー。以上1週間分の東尋坊で確認済みのポケモンです」
「東尋坊ポケモンの楽園やないか!」
「ロコン捕まえた。東尋坊にみんな集まるわけや」

などとツイッターでは盛んに情報交換が行われ、続々とプレイヤーが集まるようになっていった。7月下旬には足元を見ずに歩き、岩場でつまずく若者もいるため岩場には近づかないように、と先の茂理事長らは別の注意を呼びかけていたが、結果として、自殺の減少という思いもよらぬ効果が生まれたということなのだろうか。

坂井西署「自殺防止につながっているか、答えようがない」

一方で、地元ではかねてから自殺者を減らそうとし、警察や消防、海上保安署、市など関係機関が一丸となって防止策を講じてきた。パトロールだけでなく公衆電話などでの告知「救いの電話」などは有名だ。

その取り組みは功を奏していて、地元紙、福井新聞(15年3月5日)は14年に「東尋坊」周辺で見つかった変死体認知件数は7件で、過去5年間に比べおよそ半数に減ったことが、坂井西署のまとめで分かった、と報じている。周辺で見つかった変死体認知件数は13年までの10年間で182件あり、09〜13年の変死体認知件数は年間13〜17件で推移していたのだという。地元住民らでつくる坂井西署協議会の会長は、

「照明の設置、雑木林の整備なども進み、東尋坊は明るいイメージになってきている」

と語ったと報じている。

J-CASTニュースが16年9月7日に坂井西署に「ポケモンGO」の影響について話を聞いたところ、

「昼も夜もプレイするために訪れる人は増えているのは確認できるが、それが自殺防止につながっているかについては答えようがない」

と話していた。