赤ちゃんとの日々。柔らかく、温かく、儚く、愛おしい無垢な存在。赤ちゃんを授かり、育てていく時間は多くの親たちにとってかけがえのないものだ。それでもその記憶を写真や動画以外の形で残すことができる人はなかなかいない。日々、精神的肉体的限界を越えながら育児をする中、その時々に思ったこと感じたことを留めおくところにまで気力体力が及ばないのだ。 だからこそ川上未映子の『きみは赤ちゃん』(文藝春秋)は多くのマ