矢野まきの歌は生きている。これは彼女の歌声を初めてに耳にした25年前から、彼女の歌声に触れるたびに抱いてきた感情だ。それと同時に、ある感覚も与えられてきた。それは感触とも似た心に直接訴えかけてくるもので、言葉で言うなら「琴線に触れる」という表現が極めて近いが、それとも一寸違う特殊なものでなかなか表現しがたい。この地球上に歌い手は五万といるし、記録的なセールスを叩き出すアーティストも数多く存在するけれ