歴代総理には秀才が少なくなかったが、中でも、若い頃からの宮澤喜一の頭脳明晰ぶりは際立っていた。東京帝国大学法学部を首席で卒業、いまの国家公務員総合職試験である当時の高等文官採用試験も、行政科と外交科の両方ともパスという“偉業”のうえで大蔵省に入った。その秀才ぶりは、大蔵省先輩の福田赳夫(のちに首相)ともども「双壁」と言われたのだった。その妻・庸子は、早稲田大学教授だった伊地知純正の次女で東京女子