米国債が約100年ぶりに格下げされたことで、世界の投資家は苦痛の週末を過ごした。米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日夜、米国債の長期信用格付けの引き下げを発表した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 ある専門家は、米国債格下げは投資家の自信に影響し、8日の世界株式市場や大口商品価格の変動につながるだけでなく、各国の経済成長に新たな不確定要素を生じさせ、米国経済と密接に関わっている中国は特に警戒が必要だと示した。

 中国外貨投資研究院の譚雅玲院長は、「S&Pによる米国債格下げは米国の経済戦略を考慮したもので、米国独特の経済構造が決めたもの。現状において、米国はドルを下げるプラットフォームを持ち、それによって米国の景気回復を推し進める必要がある。米国債の格付けが引き下げられても、ドルが値崩れすることはなく、国際準備通貨における地位を揺り動かすことも難しく、今後も非常に大きなシェアを維持するだろう」との見解を示す。

 1兆1600億ドルの米国債を保有する中国は、外貨準備の運用時にさらに総合的、全面的に考慮する必要がある。譚雅玲氏は、「選択の難度と不確定性は高くなっているが、リスク面を考えると、そのほかにもっと着実で安心できる投資商品はない。中国の外貨準備で米国債のほかにどのような資産を購入すべきかが大きな問題となっている」と話す。

 中国の格付け機関、大公国際資信評価有限公司の関建中会長は記者に対し、「中国が現在もっとも注意すべきことは、米国が量的緩和第3弾を実施するかどうかだ」と述べた。S&Pによる格下げの前に、大公国際は米国債の信用格付けの引き下げを発表している。関建中氏によると、現状からして、米国政府が「本当の富」の増加を通して低い経済成長率や巨額の債務などの問題を解決するとは考えられない。したがって、量的緩和第3弾の実施は避けられず、これが世界経済を全面的な危機に落とし入れると見られ、中国も早急に準備を整える必要があるという。

 宏源証券の唐永剛チーフ戦略アナリストも、「米国が放水すれば、中国は塞がなければならない」ため、中国の投資家は米国が新たな景気刺激策を実施するかどうかを非常に気にかけていると見る。また、「米国が通貨量を再び増やせば世界の流動性は増加し、多くの資本が中国に流入する。そうなれば、中国は通貨政策において反応を示さざるを得ず、下半期に緩和された通貨政策を実施するのが難しくなる可能性もある」と懸念を示した。

 中国国務院発展研究センター金融研究所の巴曙松副所長はメディアの取材に対し、「ドルがトリプルAの最高格付けを失ったことは世界市場に動揺を引き起こすが、各国のコストシェアリングや利益構造の均等化という新たな一幕を開くことにもなる」と話した。(編集担当:米原裕子)