フランス好きの名古屋人 パリの商店街と姉妹提携で、オープンカフェ設置に意欲

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名古屋はフランスが好きだ。
テレビ塔という名のエッフェル塔はあるし、中心部・栄にある久屋大通はシャンゼリゼ通りと、栄町商店街はパリの高級ブティック街・モンテーニュ通りと姉妹提携している。名古屋もフランスもカフェ(喫茶店)文化だし、パリ市と名古屋市の人口は220万人でほぼ同じだ。「名古屋ふらんす」というお菓子まである。名古屋はフランスを愛している! 

その思いがまた一つ叶った。名古屋市西区にある円頓寺商店街と、パリ市内にあるパッサージュ・デ・パノラマが姉妹提携した。

「提携した」と言われても、正直なところ名古屋の人以外は、ローカルすぎて分からないと思う。円頓寺商店街とは、清洲から名古屋へ尾張の政治の中心地が変わった時に、一緒に移ってきた商人により形作られた場所で、名古屋でもっとも古い商店街だ。

一方でパリの「パッサージュ」というのは、ガラスのアーケードに覆われ、両脇を商店が連なる道のこと。パリにはそのようなパッサージュがいくつかあり、その中でもパッサージュ・デ・パノラマは1799年にできたパリで最古のもの。歴史的建造物が多いパリでも特に情緒を感じられる場所の一つだ。

名古屋がパリ好きといっても、なぜこの両者が姉妹提携をすることになったのか? じつは以前から、円頓寺商店街では「パリ祭」という名の秋祭りが開かれていた。

「パリ祭を始めた理由は、アーケードのある商店街がパリのパッサージュの雰囲気に似ていることや、実行委員メンバーや商店主にパリ好きがいたこと、近隣にフランス料理店が多いことが、きっかけです。パリのパッサージュでは人々が行き交い、買い物と会話を楽しみ新しい文化が生まれています。円頓寺商店街も、そのような夢を見られる場所になればと思いを込めました」(円頓寺商店街担当者)

これを機会に今年6月、フランス全土で一斉に行われる音楽の日「フェット・ド・ラ・ミュージック」に合わせて、パッサージュ・デ・パノラマでは日本の食や文化を紹介する夏祭りも企画されている。しかし、いくつかパッサージュがある中で、なぜパッサージュ・デ・パノラマになったのだろうか? 

「フランスのパッサージュも今や減少傾向にありますが、パッサージュ・デ・パノラマは新たなコンテンツと培われた歴史により、ストリートを再構築しています。円頓寺商店街もそれにならい、提携を通して伝統と国際性を兼ね備えた商店街へと生まれ変わることを目標とするため、姉妹提携しました」(同)

提携を通じて今後商店街を活性化していく計画もさまざまあるという。

「パノラマとの商業及び文化の交流を推進し、イベントを通しての商店街の賑わいづくりをしたいです。また年間での常設的なオープンカフェの設置や、道路の使用方法について具体化したいと思っています」(同)

姉妹提携を機会に円頓寺商店街は地方活性化の好例となっていくのか。日仏の新たな交流は始まったばかりだ。
(加藤亨延)