袖の着脱可能! 別のトップスの身頃とミックスできます。

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最近、ストリートスナップにて発見したメンズがインパクトでした。左右のコンバースを色違いにして、街を闊歩。要するに、左右別々のシューズでコーディネートしたおしゃれ番長がピックアップされていたんです。なんですか、その遊び心は!

いや、でもこちらの遊び心はもっと凄い。ファッションブランド「YEAH RIGHT!!(イェーライト)」が生み出したシステム、その名も「COMMON SLEEVE(コモンスリーブ)」が非常に興味深いです。
まずは、画像をご覧いただきましょう。特に注目は、袖。よく見てください? ……そうです、袖のみ入れ替わってるんです! 

袖が着脱可能で、全く別のトップスにくっ付けてしまってる。

これが、「COMMON SLEEVE」というシステム。袖部分には特別な規格の専用ファスナーが使われており、このシステムに則ったトップスならばさまざまなミックスが可能。ジャケットにジャージの袖をミックス、はたまたパーカーにコートの袖をミックス、なんて共有が可能となります。

いやはや非常に楽しいのだが、どうしてこのようなシステムが生まれたのでしょうか? その経緯を、「YEAH RIGHT!!」に伺いました。
「当ブランドではリメイクで制作するアイテムが多く、『トレンチコートのボディにデニムの袖』や『モッズコートのボディにレザーの袖』など、たくさんのバリエーションを今までに作ってきました。そして次の組み合わせを考えていたある時、『もう“ボリューム(量)”を増やすのではなく“チョイス(選択肢)”を増やしていったほうが面白いのでは?』と思い付いたんです」(YEAH RIGHT!!・河村さん)
結果、脱着・交換が可能な「COMMON SLEEVE」に辿り着いた。今までは「購入→着用」という一方行のみだった着用行為に、「交換・共有・編集」という新たな工程が生まれたのです。

ちなみにこのシステム、元は「YEAH RIGHT!!」の2010〜2011秋冬コレクションから、ブランド内でのみの展開としてスタートしています。……が、今では垣根を超えている。さまざまなブランドが、その意思に賛同しました。今まで参加したブランドは、50を超えたとのこと。
ということは、こういう事だ。Aというブランドの身頃に、Bというブランドの袖をくっ付ける……なんて冒険がOKなんです。いや、それどころか「身頃はAブランド、右腕はBブランド、左腕はCブランド」という遊び心だって可能に!
「アイテムによっては、袖単体でも販売されていますよ」(河村さん)

そんな「COMMON SLEEVE」へは、反響も続々寄せられている。
「購入していただいたお客様は、なんだか楽しそうにしてくれています(笑)。ブランド側としては『買ってもらった後、どういった組み合わせで着用されるのか』が気になります。街で見かけたらビックリしますよね。購入者も好きなように袖を交換し、自分だけの一着を楽しんでくれているようです」(河村さん)

「COMMON SLEEVE」に則ったアイテム群は、各ブランドのショップやセレクトショップ、オンラインショップ「密買東京」にて購入することができます。
「また、定期的にポップアップショップを開催しています。『COMMON SLEEVE』自体はブランドではなく一つの概念として機能するプロジェクトなので、開催する場所・企画にあったブランドに幅広く参加してもらっています」(河村さん)

そして、今後について。
「それこそハイブランドからギャル系、スポーツ・アウトドア系などが垣根なく参加してもらえるよう、幅広く展開していく予定です。また自分が持っている服をCOMMON SLEEVE化できるサービスや、自分で制作できる『COMMON SLEEVEキット』などの販売も考えています」(河村さん)

最後に。オシャレという観点でも見逃せない「COMMON SLEEVE」ですが、そこに隠された意義にも注目したいです。
「これからの未来を考えると、作りすぎて破棄されまくっている現状を膨らませていくより、“作らない”服の概念・価値観を広げていく方が有意義だと考えています」(河村さん)
このシステム、拡大されていくことで“エコ”にも繋がっていきます。
(寺西ジャジューカ)