(上)和食とフレンチでは使う魚も違うため、得意な卸業者も違うそうだ
(下)ラングスティーヌ(赤座エビ)。1日半ほどおくと甘味がでるという

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名店のシェフがお互いの料理に刺激を受け合いながら、新たなメニューを作る。そんなユニークでおいしい企画が、ちょうど今、東西のフレンチの名店2軒でおこなわれている。

その2軒というのは、東京の「ピエール・ガニェール」(ANAインターコンチネンタルホテル東京)、そして大阪の「Pierre(ピエール)」(インターコンチネンタル大阪)。前者は“厨房のピカソ”と呼ばれる美食の巨匠、ピエール・ガニェール氏が手がける店で『ミシュランガイド』で5年連続の2つ星を獲得。後者はオープン後わずか1年半で1つ星獲得という快挙を成し遂げた。そんな両店のシェフがコラボレーションして生まれた期間限定の特別メニューが提供されているのだ。

先ごろ、コラボを記念してメディアイベントが開催された。シェフと一緒に築地市場を訪れて、旬の食材選びに参加し、さらにその調理のデモンストレーションを見るという内容。その様子をレポートしよう。

まずは、築地ツアーから。同行したのは、「Pierre」料理長の大久保晋さんと「ピエール・ガニェール」スーシェフの内田徹平さん。卸売業者の話を聞きながら、「あ、これは次に使おうか迷っている食材なんです」なんて言いつつ、興味深そうに食材をチェックしていく。ちなみに珍しい食材については「安定して入るかどうか」も重要なチェックポイントになるという。

シェフたちは毎日築地に出向いているわけではないが、内田さんいわく、
「好みの食材に偏らないよう、とくに新しいメニューを考案するときなどは築地に来ますね」
ただメニューは3〜6カ月ほど先のメニューを考えるので、訪れたときに市場に並んでいるものとは旬にズレがある。そのあたりは卸業者の人にシーズンを確認したり、随時最新の情報をもらうなどして調整しているとのこと。

続いて、ホテルへ戻り、コラボレーションメニューのデモンストレーション。まず、内田さんがコラボレーションメニューの1つ「Peche(魚市場)」という4皿からなる前菜の一皿、ラングスティーヌのポワレを作ってくれた。

まずは、生きたエビの頭の部分を使ってソースを作る。当然のことながら、手さばきがあまりに華麗で見惚れてしまう。エビ胴体は火を入れすぎると硬くなるので、細心の注意を払いながら火入れをし、焦がしバターをまわしかける。ちなみに味付けに使う塩コショウのうち、最初に使うのは塩だけ。香りが飛んでしまうので、必ずコショウは最後に振るそうだ。

続いて大久保さんが、メインの「ササカレイのヴァプール 色鮮やかな野菜の付け合せ」を作ってくれた。

美術館などにも通い、アート感覚を鍛えているという大久保さんの料理は、盛り付けも繊細で、たしかにアート作品のよう!

お互いのデモンストレーションを披露した後、内田さんは大久保さんの料理を見て、「色使いが華やかでオシャレなひと品。力強さもある」とコメント。一方、大久保さんは内田さんの料理について「ガニェール氏の料理を彼なりに表現している」と評価。ちなみにガニェール氏の料理にスペシャリテといわれるものはなく、今回でいえば4皿からなる前菜のように何皿も出すことが特徴といえるくらいなのだとか。最後はお互いに「こうした機会があればまた一緒に取り組みたい」と意欲を示した。

今回のコラボレーション企画は、インターコンチネンタル(R) ホテルズ&リゾーツ(以下インターコンチネンタル)が、世界的シェフの競演によりインターコンチネンタルの特別なダイニング体験を紹介する「Chef to Chef」という企画の一環。3月8日まで国内のFOX インターナショナル・チャンネルズとナショナルジオグラフィックチャンネルにて料理番組『Chef to Chef』シリーズも放送されている。

デモンストレーションが披露された「Chef to Chef」の日本オリジナルメニューは、ANAインターコンチネンタルホテル東京の「ピエール・ガニェール」で2月1日から28日まで前菜「Peche(魚市場)」をアラカルトで提供。インターコンチネンタルホテル大阪のフレンチレストラン「Pierre(ピエール)」では3月末までメイン料理の「ササカレイのヴァプール 色鮮やかな野菜の付け合せ」をアラカルトで楽しめる(※バレンタインまたはホワイトデーはコースで提供)。

これまでとはひと味違う味覚が引き出された敏腕シェフのおいしいコラボレーション。Facebookページでは、両レストランの通常ディナーなどが当たるキャンペーンもやっているので挑戦してみては?
(古屋江美子)