手がけたのは、映画「東京タワーオカンとボクと、時々、オトン」の松岡錠司監督。海外でも人気が高く、台湾、韓国、香港及びマカオ、フィリピンなどでの公開が決定しているそう。
(C)2015 安倍夜郎・小学館/映画「深夜食堂」製作委員会

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今週末、映画『深夜食堂』が公開される。本作は、安倍夜郎の人気コミックを原作に、深夜営業の食堂「めしや」にマスター(小林薫)の料理と居心地の良さを求めて毎晩やって来る、さまざまな人々の人生模様を描いたテレビドラマ『深夜食堂』シリーズの劇場版。「めしや」よろしく深夜放送だった為、マスターが作る素朴で懐かしい料理の数々が登場すると、視聴者のお腹はグググ。“めしテロ”として話題になった。自宅で自ら深夜食堂を開店させてしまった人も少なくないとか。また、個性的な常連客に加えて、ひとクセもふたクセもあるゲストが登場。彼らの織りなすドラマに泣いたり笑ったりホロリとしたり、決して大きな事件は起こらない、どこか身近な物語にファンも多く、09年から始まったテレビシリーズはこれまでに3本。そして2015年、足かけ5年目にして映画化の運びとなった。

【映画『深夜食堂』魅力、あの世界観を体感!?】


テレビシリーズのファンなら、「ついに映画化か!」と感慨深い方も多いだろう。もはや他人とは思えない常連客の面々や、いつもテレビ画面を食い入るように見つめていたマスターの料理が、大きなスクリーンで見られると思うと感動もひとしお。その一方で、「深夜に1人でしんみり見ている感じ、あれがいいんだよぉ。それを繁華街のど真ん中にある映画館にわざわざ出かけていくのは、どうなのかなぁ」なんて方も、ひょっとしたらいるかも知れない。

が、映画では“スクリーン鑑賞”ならではのお楽しみが待っている。
というのも、本作の為になんと約300坪の倉庫に、まるで新宿ゴールデン街かのようなリアルなセットが創られたのだ。手がけたのは映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』、『舟を編む』、『テルマエ・ロマエ』シリーズと、数々の世界観を作り上げてきた美術監督・原田満生氏。「めしや」の前にある「稲荷大明神」という神社にはきちんと油揚げがお供えされていたり、ユーモアあふれるセンスの看板、カメラでは捉えられないような場所にもほこりが積まれていたり、出演者本人でさえ驚くような過去の出演作ポスターが電柱に貼られていたり、いたるところに原田氏率いる美術スタッフのこだわりと遊び心が詰まっている。これにはキャスト達も大喜び。撮影の合間にはセット見学のツアーも開催されたそう(笑)。それほどまでに作りこまれたセットは、観る者にとってもまるで自分も「めしや」に通う一員になったかのような気分にさせられ、路地裏の“昭和な感じの空気感”を全身で体感することができる。

また、映画では、マスターの私服や自宅が垣間見れたりと、ドラマファンには新鮮な驚きも。そして、気になる料理は「ナポリタン」「とろろご飯」「カレーライス」。この3つの料理を題材に、映画版のゲストとして高岡早紀、柄本時生、多部未華子、余貴美子、筒井道隆、菊池亜希子、田中裕子らが出演。オダギリジョーは前作までとは一変、笑えるキャラクターとして登場する。もちろん、ドラマやコミックを全く知らない方でも本作だけで十分楽しめる内容になっている。いつもはたった1人、深夜の自宅でドラマを見ていたという方は、誰かと一緒に映画館でご覧頂くのも楽しいかも知れない。観たら必ずお腹がすく本作、映画館を出てどこか一緒にふらりと“めしや”(居酒屋!?)に入って、食べたり飲んだりしながら、思い出の味について語り合ったり……。映画はドラマとはまた違った、そんな新たな楽しみも与えてくれそうな一作だ。
(mic)

映画『深夜食堂』は、1月31日から公開